肉用牛への非加熱穀類給与は加熱圧片穀類に比べ飼料効率を低下させる


[要約]
黒毛和種去勢牛に荒挽大麦および挽割トウモロコシを給与すると、枝肉成績に差はないが、加熱穀類に比べ飼料効率を低下させる。

[キーワード]肉用牛、穀類、加工形態、飼料効率

[担当]群馬畜試・大家畜研究グループ
[代表連絡先]電話027-288-2222
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(大家畜)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 4県協定研究により加工度(丸粒・挽き割り・圧片)の異なるトウモロコシの給与試験や大麦と丸粒トウモロコシの比較試験を実施し、加熱処理した穀類は非加熱処理に比べ、増体は良いものの、脂肪交雑や胸最長筋中の粗脂肪含量等の肉質が劣ることを確認している。
 そこで、今回は肉用牛飼料の主要な穀類であるトウモロコシと大麦を用い、デンプンの第一胃内分解性の違いが黒毛和種去勢牛の産肉性に及ぼす影響について検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 黒毛和種去勢牛35頭を供試し、濃厚飼料の第一胃内デンプン分解率が高い加熱処理穀類と分解率の低い非加熱処理穀類を用い、前期36週、後期38週の肥育試験を行う。
前期終了後、加熱区(n=18)は加熱区(n=9)と非加熱区(n=9)、非加熱区(n=17)は非加熱区(n=9)と加熱区(n=8)にそれぞれ組み替える。
2. 供試飼料は濃厚飼料と粗飼料(稲ワラ)を原物重量で前期80対20、後期92対8の割合で混合した無加水TMRを自由採食とする。濃厚飼料の第一胃内デンプン分解率は、加熱区と非加熱区において設計値で前期14.0%、後期12.4%の差となる(表1)。
3. 肥育前期には非加熱処理穀類を給与すると、加熱処理穀類に比べて飼料摂取量は高まるが、肥育後期には相違は見られない(図1)。
4. 非加熱処理と加熱処理の間で、肥育前期の発育に相違は見られないが、肥育後期には非加熱処理穀類を給与すると発育が低下する(表2)。
5. 非加熱処理は加熱処理に比べて、前期、後期とも飼料効率を低下させるが、枝肉成績には相違がない(表2表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 自家配合を実施している肥育農家および飼料製造メーカーで活用できる。
2. 加熱穀類は蒸煮処理し、圧片加工したトウモロコシおよび大麦、非加熱穀類は1〜4mmのサイズに挽割加工したトウモロコシとプレス後、荒挽加工した大麦を使用する。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:デンプンの第一胃内分解性の違いが黒毛和種去勢牛の産肉性に及ぼす影響
予算区分:県単
研究期間:2004〜2005年度
研究担当者:浅田勉(群馬畜試)、谷島直樹(茨城畜セ肉研)、堀井美那、櫻井由美(栃木畜試)、山田真希夫、小林正和(千葉畜総研)

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