黒毛和種肥育牛の肉質向上にはビタミンCの給与が有効である


[要約]
黒毛和種去勢肥育牛に対して肥育中期から出荷まで1日体重1kgあたり60mgまたは30mgのビタミンC剤を給与することにより、脂肪交雑や肉の締まり等が向上する。

[キーワード]ビタミンC、脂肪交雑、黒毛和種、若狭牛

[担当]福井畜試・家畜研究部・飼養管理研究グループ
[代表連絡先]電話0776-81-3130
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(大家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 ビタミンCが牛の脂肪前駆細胞から脂肪細胞への分化を促進することが培養試験で報告されていることから、ビタミンC剤の給与による肉質向上効果を福井県のブランド牛である「若狭牛」を用いて実証する。
 ビタミンCは第一胃で分解されやすいため、バイパス処理されたビタミンC剤の有効な添加量について検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 試験区の構成は表1に示すとおりとし、15ヶ月齢以降出荷までビタミンC剤を給与することにより、60mg/kg給与、30mg/kg給与とも日増体重、枝肉重量、ロース芯面積のいずれも無給与に比べ大きくなったが、区間に有意差はみられない(表2表3)。
2. ビタミンC剤を60mg/kg給与することにより、特にBMS値が高く、締まりも改善される(表3)。
3. 血中ビタミンC濃度については、60mg/kg給与では無給与区より概ね高く推移する(図1)。
4. ビタミンC剤の費用は、60mg/kgの給与では71千円、30mg/kgでは39千円である。

[成果の活用面・留意点]
1. ビタミンC給与技術の普及のためには、給与期間と給与量について、さらに検討が必要である。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:若狭牛品質向上技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2003〜2004年度
研究担当者:明間基生、吉田靖、山崎昭治、栗原優佳子
発表論文等:明間・吉田(2005)肉用牛研究会報 80:45-47

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