0.1ppm以下のオゾンガス濃度では、肥育豚に対して影響は認められない


[要約]
0.1ppm以下のオゾンガス濃度の中で豚を飼養しても発育性、採食回数、飼料摂取量、血清中ビタミンC濃度、過酸化脂質量、赤血球浸透抵抗性などに異常が認められない。

[キーワード]ブタ、オゾンガス、血液中ビタミンC濃度、赤血球浸透圧抵抗性、発育性

[担当]神奈川畜技セ・畜産工学部
[代表連絡先]電話046-238-4056
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 オゾンは強い殺菌力と2次汚染物質を生成しないという特徴が注目されているが、高濃度のオゾンガスは生体に影響を及ぼすため、利用するには注意が必要である。そこで、日本産業衛生学会で定めている労働衛生許容濃度である0.1ppm以下で豚を飼養する場合の生体への影響について検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 温度25℃、湿度65%に設定した人工気象室に16週齢の去勢豚4頭を入れ、オゾンガス(0.1ppm)を送風する。試験室内の平均オゾンガス濃度は0.07ppmである。
2. オゾンガスを送風している間の1日当たりの増体重(DG)は、送風終了後より少ないものの、送風前に比べ増加し、かつ当所で飼養しているランドレース種のDG(817g)と遜色がない(図1)。
3. 飼料摂取量や採食回数に有意な差は認められない(図2)。
4. 血清中ビタミンC濃度及び過酸化脂質量は正常範囲内で推移している。
5. 赤血球浸透圧抵抗性の変化についても特に異常は認められない。
6. 試験区及び対照区の豚房(10.8m3:2m×3m×1.8m)をそれぞれシートで覆い、約8週齢〜10週齢のLWD種を10頭ずつ入れ1時間に96mgのオゾンが発生できる紫外線ランプ式オゾン発生機(2台)を用い、試験区に1分間に64Lのオゾンガスを送風する。オゾンガス濃度は、地上90cmの位置で紫外線吸収式オゾン濃度計を用いて測定し、オゾン発生機は、オゾン濃度が0.06ppmになると発生機が稼働し、0.1ppmで停止するよう設定している。試験室内の平均オゾンガス濃度は0.06ppmである。
7. 試験期間中の発育性は試験区と対照区の発育に差は認められない(図3)。
8. 試験区の血清中の過酸化脂質量は、対照区及び試験開始前と比べて差は認められない。
9. 赤血球浸透圧抵抗性も両区に差は認められない(図4)ことから、オゾンガスによる生体への影響は無いと考えられる。

[成果の活用面・留意点]
 0.1ppm以下のオゾンガス濃度で豚を飼養した場合、オゾンガスによる豚生体への影響は認められないことから、豚舎内の衛生環境改善にオゾンガスを利用することは可能である。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:養豚施設におけるオゾン利用方法の基礎的研究
      (1)生体への影響に関する検討
      (2)オゾンの殺菌効果及び生体への影響に関する検討
予算区分:県単
研究期間:2004年度
研究担当者:小嶋信雄、平原敏史、前田高弘
発表論文等: 小嶋ら(2004)平成16年度試験研究成績書(繁殖工学・養豚):27-29
小嶋ら(2004)平成16年度試験研究成績書(繁殖工学・養豚):30-32

目次へ戻る