ニホンジカは春に牧草地へ侵入し1番草へ大きな被害を与える


[要約]
ニホンジカは3〜4月の期間に最も多く牧草地へ侵入し、一晩に80頭に達することがある。このためニホンジカによる食害は、1番草への影響が大きい。さらに、イタリアンライグラスでは2月に侵入を防止しても秋から冬の食害により著しく減収する。

[キーワード]野生動物、ニホンジカ、食害、イタリアライグラス、1番草

[担当]長野畜試・飼料環境部 長野県林業総合センター
[代表連絡先]電話0263-52-1188、0263-52-0600
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(草地)
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
 近年、牧草地においてニホンジカによる食害が増加し、長野県において山沿いの採草地を中心に被害が報告されている。そこで、長野県畜産試験場において被害実態を明らかにして、防御技術を確立するための基礎資料を提供する。

[成果の内容・特徴]
1. ニホンジカは、2月〜5月の早春から春にかけての期間と11月の晩秋期に20頭以上観察される。特に、3月〜4月にかけての期間は最も多く牧草地へ侵入し、一晩あたり最大で70頭(平成16年3月)〜80頭(平成17年4月)に達することが観察される(図2)。
2. 牧草地におけるニホンジカの番草別の被害は1番草で最も大きく3割に達する。(表1
3. イタリアンライグラス単播1番草において、2月中旬以降ニホンジカの侵入を防いでも秋から冬の食害の影響が残り、草丈、乾物収量とも有意に減少する(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. ニホンジカの食害実態の情報源として活用できる。
2. 調査圃場の標高は760〜800mで高ボッチ高原(標高1600m)から続く丘陵地帯西側のふもとにある圃場を対象にした2年間(混播永年草地)または1年間(イタリアンライグラス単播草地)の調査結果である。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:牧草飼料作物生産実証試験
予算区分:県単
研究期間:2003〜2005年度
研究担当者:百瀬義男、中山利明、水流正裕、渡辺晴彦、岡田充弘、小山泰弘、山内仁人(長野県林業総合センター)

目次へ戻る