デタージェント分析法による牛糞堆肥中の有機物分析の有効性


[要約]
デタージェント分析法による牛糞堆肥中の有機成分NDFおよびADFは、公定法による熱水可溶画分・塩酸可溶画分との間に高い相関があり、分析における操作が簡易かつ分析時間が短時間である。

[キーワード]牛糞堆肥有機物、デタージェント分析、公定法

[担当]静岡畜試・ゼロエミッション堆肥プロジェクト
[代表連絡先]電話0544-52-0146
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(畜産環境)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 堆肥等の一般有機成分の分析法は井ノ子(1979)の方法が公定法(堆肥等有機物分析法2000)として定められている。近年、飼料分析に用いられるデタージェント分析法で堆肥の有機成分を求める報告があるが、公定法との比較ができない。そこで、デタージェント分析法と公定法との有機物画分を比較検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 供試した堆肥は、県内酪農家から熟期を変え収集したもの12点、小型堆肥化発酵装置で堆肥化調製したもの24点、並びに原料糞3点の計39点であり、中性デタージェント繊維(NDF)含量は、42.2%〜80.0%の範囲にある。(表1
2. 両者の分析時間の比較では、公定法はエタノールベンゼンの抽出から2%塩酸での煮沸まで合計11.5時間かかり、デタージェント法ではADF,NDFともに1時間の煮沸で終了することから、デタージェント分析法は有効である。
3. 牛糞堆肥有機物における公定法による熱水不溶画分(Hot Water Insoluble Fraction:HWIF)および塩酸不溶残渣(HCL Insoluble Fraction:HCLIF)とNDFおよびADFの間に高い相関があり、以下に示す関係式で示される。(表2
  NDFとHWIF:NDF=1.101×HWIF−21.11 (r=0.905,P<0.01,n=39)
  NDFとHCLIF:NDF=1.463×HCLIF−19.75 (r=0.970,P<0.01,n=39)
  ADFとHCLIF:ADF=1.265×HCLIF−18.07 (r=0.965,P<0.01,n=39)(図1
4. 牛糞の堆肥化経過で比較的早く分解するヘミセルロースは、公定法とデタージェント分析法(NDF-ADFをヘミセルロースとする)の間に高い相関があり、以下に示す関係式で示される。
 ヘミセルロース=0.649×(NDF−ADF)+5.76(r=0.780,P<0.01,n=39)(図2

[成果の活用面・留意点]
1. 中性デタージェント繊維分析の際、牛糞では澱粉含量がすくないためα−アミラーゼ処理は必要ないが、堆肥原料中に澱粉が含まれている場合にはα−アミラーゼ処理する必要がある。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:牛糞堆肥の熟度評価に関する研究
予算区分:県単
研究期間:2000〜2005年度
研究担当者:芹澤駿治、佐藤克昭、藤井信吾

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