林地廃材の二次破砕材は脱臭槽充填材として活用できる


[要約]
林地廃材の二次破砕材は、オガクズと比較して容積当たりのアンモニア吸着量が4.8倍と多く、価格も安価であることから脱臭槽の充填材として活用しうる。

[キーワード]アンモニア脱臭、ゼオライト、廃菌床、二次破砕材、脱臭槽充填材

[担当]福井畜試・技術開発部・資源活用研究グループ
[代表連絡先]電話0776-81-3130
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(畜産環境)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 ふん尿処理施設の脱臭装置として、オガクズなどを吸着剤として利用した、箱型脱臭装置は設置が容易であり導入しやすい。一方、県内で発生する林地廃材や廃菌床、モミガラなどの一部は有効に利用されていないものがある。
 そこでこれらの資材を脱臭槽充填材として用い、アンモニア吸着量やコストを考慮した利用の可能性を検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 約300ppmのアンモニアを下部送気口(図1)より流入し、最上部の排気口での濃度が10ppm前後に検出されるまでの脱臭可能時間は、二次破砕材、乾燥廃菌床、ゼオライト(+粉砕モミガラ)が354-336時間と、モミガラやオガクズより優れる(表2)。
2. 1m3当たりのアンモニア吸着量は、乾燥廃菌床がもっとも多く、オガクズと比較して約6.3倍であり、二次破砕材は約4.8倍、ゼオライトは3.2倍である(表2)。
3. 鶏ふん1,000羽分の堆肥化処理から発生するアンモニアを、1m3の資材を用い24時間稼働で脱臭すると試算した場合、乾燥廃菌床は約18日間、二次破砕材は約13日間、ゼオライトは約9日間脱臭可能となる(表3)。
4. 1ヶ月間脱臭するのに必要な資材を試算すると、ゼオライトがオガクズの約13.7倍、乾燥廃菌床は約3.7倍と高価であり、二次破砕材はオガクズに比べて、約半分と安価である(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 二次破砕材が安価で入手できるところで、活用する。
2. ゼオライトは単独で使用すると通気性が悪いので、粉砕モミガラ等を併用する必要がある。
3. 脱臭槽充填材として使用した後の資材は、畜ふんの堆肥化処理時の副資材として利用可能である。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:未利用資源を用いた脱臭技術の開発
予算区分:国補
研究期間:2003〜2005年度
研究担当者:南部奈津紀、斉藤正志、林薫月

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