わい性で小鉢生産に向くアジサイ新品種「ラブリーハートピンク(仮称)」


[要約]
アジサイ新品種「ラブリーハートピンク」は、鮮やかな濃いピンク系の品種で、現在鉢物として栽培されているセイヨウアジサイの品種に比べ、わい性のため5号鉢以下の小鉢生産に向く。

[キーワード]アジサイ、新品種、ラブリーハートピンク、わい性、小鉢

[担当]群馬農技セ・生産技術部・花きグループ
[代表連絡先]電話0270-30-7799
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 我が国在来のアジサイは、一般的に生育が旺盛で草丈が伸びやすいため、鉢物では草姿のバランスが取りにくい。一方、セイヨウアジサイは、鉢栽培を前提に育種されてきたため、在来のアジサイに比べ、草姿が小型の品種が多い。しかし、生育旺盛な品種は草丈を抑えるため栽培期間中に3〜4回わい化剤を用いることがあり、特に5号鉢以下の小鉢栽培では、鉢とのバランスが取りにくい。また、わい性の品種は青系品種にはあるが、ピンク系品種にはほとんど無い。
 そこで、既存品種よりわい性で、花付きが良く、花色が鮮明で濃く、小鉢生産に向く新品種を育成する。

[成果の内容・特徴]
1. 育成経過
 1998年に「グリュンヘルツ」を種子親、「ホベラ」を花粉親とした交配を行い、同年に種子を採取した。2000年に花色が濃く、わい性であることに重点をおき1次選抜を行なった。その後、青系及び赤系の品種用培養土による発色性、促成作型での適応性、生育の均一性について検討を進め、2003年当初の目標であった既存品種よりわい性の性質を持ち、花付きが良く、花色が鮮明で濃い、小鉢生産に適する1系統を選抜した。2005年3月その形質が安定していることを確認し、同年6月農林水産省に品種登録出願した。
2. 品種の特性
1) 育苗期の側枝長や促成期の新梢長が短く、わい性である(表1表2写真1)。
2) 12月下旬加温開始の促成作型で、3月下旬に開花する中生種である(表2)。
3) 装飾花の色は鮮紫ピンク(No.9705)で、鮮やかである(表2写真2)。
4) 花序は半球形の手まり咲で、がく片が丸く、商品性が高い(写真2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 品種登録出願中であり、栽培には群馬県との許諾契約が必要である。なお、当面は県内の生産者に栽培を限定する。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:中小輪系鉢物用アジサイの品種育成
予算区分:県単
研究期間:1998〜2004年度
研究担当者:清水良泰、八木和弘
発表論文等: 品種登録出願日2005年6月16日、出願公表日2005年12月15日
出願番号第18435号

目次へ戻る