小輪系アスターの電照による半促成栽培法


[要約]
小輪系アスターを2月下旬に播種し、定植から8週間電照栽培すると自然日長に比べて早く伸長・花芽分化し、開花が約1カ月早くなり、6月中下旬に収穫できる。定植から8週間の電照にかかる電気料は切り花1本当たり1.4円程度と安価で生産できる。

[キーワード]小輪系アスター、電照、半促成栽培

[担当]石川農研・育種栽培研究部・園芸栽培グループ
[代表連絡先]電話076-257-6911
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 アスターの半促成栽培では、最低15℃に加温することにより6月に出荷できるとされている。しかし、北陸のような冬季の日射量が少ない地域では、加温にかかる経費が大きく実用的な作型とはいえない。一方、アスターは16時間以上の長日条件下では10℃程度の温度でも生育・開花する特徴がある。そこで、無加温栽培において電照による半促成栽培法について検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 2月下旬播種、3月下旬定植で無加温栽培すると、自然日長ではハウス内平均気温が20℃を超える頃(金沢では5月下旬)まで節間伸長しないが、定植から8週間、深夜4時間の暗期中断による電照を行うと、展開葉数は変わらないものの低節位から節間伸長し、早期に花芽分化する(表1)。
2. 開花は、自然日長に比べて8週間電照で約1カ月早くなり、6月中下旬に収穫できる。また、電照栽培では着花節位が低く、切り花長がやや短くなるが、切り花重、小花数が増えボリュームのある切り花となる(表2)。
3. 定植から8週間の電照に必要な電力は、1a当たり202kWhで、3,000本/a収穫すると切り花1本当たりの電照経費は1.4円(基本料金及び電気代)と試算される(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 小輪系アスターの加温栽培では加温経費が切り花1本当たり7.6円かかるのに対し、電照栽培では1.4円と低コストな半促成栽培法となる(表3)。
2. 電照は75Wの電照用電球を3m間隔で設置し、深夜4時間(22:00〜2:00)の暗期中断とした。
3. 電照期間が長くなると、開花が遅れ、分枝が少なく草姿も乱れるため適切な時期に消灯する。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:水稲経営の複合化に対応した花き生産技術
予算区分:県単
研究期間:2003〜2005年度
研究担当者:吉住隆司、工藤卓雄

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