シクラメンの養分吸収特性の解明


[要約]
12月播種、5号鉢仕上げのシクラメン、パステル系シューベルトにおいて葉数100枚、開花数20本程度の開花株における養分吸収量は、株当たり窒素930mg、リン酸175mg、カリ960mg程度である。また、各成分とも花蕾発育伸長期に最も多く吸収される。

[キーワード]シクラメン、養分吸収量

[担当]栃木県農業試験場・園芸技術部・花き研究室
[代表連絡先]電話028-665-7071
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 シクラメンでは、簡易栄養診断を活用した施肥管理技術が普及してきたが、より省力化を図るため、肥効調節型肥料を用いた施肥管理技術を確立する。そのため、基礎データとして、生育ステージ別養分吸収量と生育の関係を調査し、養分吸収特性を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 展開葉数は、10月上旬まではほぼ一定的に増加する。10月中旬から11月中旬にかけて最も多く展開し、11月中旬以降はあまり増加しない。乾物重についても、葉は展開葉数と同様の推移を示す。花も10月上旬以降の増加が顕著であるが、塊茎および根は生育期間を通じ一定的に増加する(図1)。
2. 開花時の無機成分含有量は株当たり窒素927mg、リン酸176mg、カリ964mg、カルシウム380mg、マグネシウム356mgである。窒素を100とした場合の各成分の割合は、リン酸19、カリ104、カルシウム41、マグネシウム38である(表1)。
3. 無機成分は、各成分とも10月上旬までは一定的に吸収される。各成分とも10月から11月にかけて最も多く吸収され、11月以降の吸収量は少なくなる(図2)。
4. 生育ステージ別の1日当たりの養分吸収量は、カルシウムを除く各成分は主芽発達期から徐々に増加し、花蕾発育伸長期が最も多くなり、開花期は低下する。カルシウムは主芽発達期から開花期まで徐々に増加する(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 品種パステル系シューベルト、12月下旬播種、3月下旬2号、5月中旬3号、6月下旬4号硬質ポリポットに鉢替え、8月初旬5号プラスチック鉢定植の作型である。
2. 培地は赤土、籾殻堆肥、腐葉土、ピートモスを4:2:2:2の割合(体積比)に配合する。培地1L当たり、過燐酸石灰、重焼りんをそれぞれ1g、ようりん、腐植りんをそれぞれ2g加えたものを使用する。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:鉢物花きの新底面給水栽培システムの確立
予算区分:県単
研究期間:2001〜2003年度
研究担当者:小玉雅晴、高崎正

目次へ戻る