大果で甘味の強い促成イチゴ新品種「ひたち姫」の育成


[要約]
「とちおとめ」×「章姫」の交配組合せから、促成栽培用品種として「ひたち姫」を育成した。「ひたち姫」は、大きくてやや長めの果形が特徴で、糖酸比が高く甘味が強い。

[キーワード]野菜、イチゴ、新品種、促成栽培、大果

[担当]茨城農総セ・生物工学研究所・野菜育種研究室、園芸研究所・野菜研究室
[連絡先]電話0299-45-8330
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 茨城県のイチゴは作付面積279ha(全国8位)で産出額67億円(2003年)と冬期の重要な野菜として位置付けられている。県内産地の活性化を図るため、大果・良食味・栽培しやすさを目標に、安定生産が可能な本県オリジナルのイチゴ品種を育成する。

[成果の内容・特徴]
1. 育成経過
1999年に「とちおとめ」を子房親、「章姫」を花粉親に交雑を行ない、交雑種子から、収量性、果実品質の優れる1系統を選抜した。園芸研究所野菜研究室で適応性を検討し、2002年にイチゴ「ひたち2号」とした。2003年から水戸および鉾田農改センター管内の現地農家において適応性を検討した。2005年に「ひたち姫」と命名し品種登録を出願した。
2. 特性
1)果形はやや長めの円錐形で、果皮色は「とちおとめ」と同様の濃赤色で光沢がある糖度は「とちおとめ」並に高く、酸度が低いため、甘味が強い。果実硬度は「章姫」より硬いものの、「とちおとめ」よりは軟らかい(表1図1)。
2)収量は「とちおとめ」よりもやや多く、収穫期間を通して安定している。平均一果重は「とちおとめ」よりも大きく、15g以上の大果の割合が多い。また7g未満のくず果の発生が「とちおとめ」よりも少ない。乱形果や不受精果の発生は「とちおとめ」よりも少ない(表2)。
3)ランナーの発生は「とちおとめ」よりも多い。定植後の活着が優れ、草勢が強い。
4)草丈は「とちおとめ」よりやや大きく、厳寒期のわい化程度は「とちおとめ」より小さい。葉長、葉幅は「章姫」並みの大きさである(表3)。
5)ポット育苗による促成栽培において頂花房の開花日及び収穫開始日は「とちおとめ」並みかやや遅い。 一花房当りの花数(果数)は「とちおとめ」よりやや少ない(表3)。
6) うどんこ病に対する耐病性はやや弱く、「とちおとめ」並である。

[成果の活用面・留意点]
1. 茨城県内の促成作型に適する。
2. 2005年7月に品種登録を出願(出願中)した。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:野菜新品種育成及び現地適応性試験・イチゴ新品種の育成
予算区分:県単
研究期間:1994〜2005年度
研究担当者:宮城 慎、高津康正、冨田健夫、氏家有美、葛谷真輝、八城和敏(筑西普及セ)

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