ダイコン「夏つかさ」の1粒播種栽培技術


[要約]
ダイコン「夏つかさ」を粒径2mm以上で種子選別、選別した種子1粒の両サイド2cmの位置に被覆尿素肥料を各2粒封入するテープシーダーを作成し、このテープシーダーをソリ付き播種機を用いて深度2cmに播種する1粒播種栽培は、欠株の発生が少なく実用性がある。

[キーワード]ダイコン、1粒播種、種子選別、ソリ付き播種機

[担当]石川農研・砂丘地農試
[連絡先]電話076-283-0073
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 ダイコンの1粒播種栽培は、間引き作業が不要なため省力化を図る上で効果的な技術であるが、欠株が生じやすい等の問題がある。そこで、欠株の発生が少ない1粒播種栽培技術を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 「夏つかさ」では種子の粒径と収穫時の根重との間に密接な関係があり、特に粒径2mm以下の種子は生育期間を通して根部の生育が緩慢で、収穫期の根重が小さい(図1)。
2. この品種の発芽率が向上する播種深度は2cm付近にあり、4cm以上の深度では欠株の発生が顕著に増加する(図2)。
3. ソリ付き播種機は、慣行の播種機に比べて設定深度での播種精度が高い(図3)。また、テープ封入した種子の両サイド2cmの位置に被覆尿素肥料を各2粒封入することにより、初期生育が旺盛となり、この効果は生育後半まで持続する(データ省略)。
4. 「種子選別」、「深度2cmでの播種」、「播種深度が一定となる播種機の利用」、「被覆尿素のテープ封入」を組み合わせることにより、「夏つかさ」では欠株発生は3%以内となり、1粒播種栽培が可能となる(表1)。一方、「快進2号」は、本技術を用いても欠株が2割程度発生する。

[成果の活用面・留意点]
1. 本技術は、砂丘地帯の8月播種栽培に適合する技術である。
2. 圃場での欠株の発生は品種固有の発芽力の差によるところが大きいので、「夏つかさ」以外の品種については個々に実用性の有無の検討が必要である。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:一粒播種におけるダイコンの生育斉一化技術の開発
予算区分:ブラニチ6系
研究期間:2002〜2005年度
研究担当者:福岡信之、清水 恵美、増田大祐、橋本 尚、西村康平、松本 淳

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