画像解析を用いたイチゴの果実形質評価法


[要約]
イチゴ果実をデジタルカメラで撮影し、画像解析によって果実の色および形状を数量化することにより、果実形質の品種特性や収穫時期による変化を評価することができる。

[キーワード]イチゴ、果実形質評価、画像解析

[担当]三重科技セ・農業研究部・園芸グループ
[連絡先]電話0598-42-6358
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
 イチゴ果実の色や形は、商品性や品種特性を評価する重要な指標である。しかし、これらの果実形質の評価は目視に頼る場合が多く、客観性および再現性に問題がある。そこで、デジタルカメラで撮影した画像を用いて、果実の表面色および形状を画像解析により数量的に評価する方法を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 直接、光が当たらない一定の照明条件下に試料を置き、露出条件を一定にして市販のデジタルカメラで撮影して画像ファイルとする。表面色の評価は、画像データを三重大学作成のソフトによりRGB色空間からHSL色空間に変換して行い、形状の評価は市販の画像解析ソフトにより、果実の縦横比、果実の重心位置から算出した5指標、および面積あたりの周囲長を測定して行う(図1図2)。
2. 表面色はH値(色相)、S値(彩度)およびL値(明度)の3指標について、それぞれ0〜255の256階調で評価する。各値について対象画像の平均値に加えて、分布も算出することができる(図3)。
3. これらの指標を用いて、品種、収穫月および収穫年による果実形質の違いを検討したところ、品種は全指標で、収穫月はH値などの7指標で、収穫年はL値で、それぞれ違いが認められ、果実形質の品種特性や収穫時期による変化を評価することができる。また、形状の指標は色彩の指標に比べて、収穫月と収穫年の影響を受けにくいものが多く、品種特性の評価には有効である(表1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 表面色の評価方法は先青果、色むら果および果実断面色の評価にも活用できる。
2. デジタルカメラの画像処理機能や画像サイズにより、色彩値が異なる場合があるので同一の機種および設定で撮影する。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:三重県特産品に対するDNA鑑定・品種識別手法の開発
予算区分:県単
研究期間:2003〜2004年度
研究担当者:北村八祥、森 利樹、橋本 篤(三重大学)、亀岡孝治(三重大学)

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