チトニアはケナガカブリダニのバンカー植物に適している


[要約]
キク科のチトニアは、代替餌にナミハダニを利用することでチャのカンザワハダニの土着天敵であるケナガカブリダニを効率的に増殖でき、バンカー植物に適している。

[キーワード]チャ、カンザワハダニ、土着天敵、ケナガカブリダニ、バンカー植物、チトニア

[担当]三重科技セ・農業研究部・茶業研究室
[連絡先]電話0595-82-3125
[区分]関東東海北陸農業・茶業
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
 環境負荷軽減や食の安全・安心に配慮した総合防除体系の中で、天敵の利用は重要な役割を果たしている。茶栽培においては製剤化された天敵がないため、改正農薬取締法の下では使用場所の周辺で採取された天敵の使用が認められているのみであり、総合防除体系の確立のためには土着天敵の保護利用が不可欠である。そこで、チャの重要害虫であるカンザワハダニに対するバンカー法を確立するために、代替餌にナミハダニを利用し、土着天敵のケナガカブリダニを効率的に増殖でき、バンカー植物に適している植物を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 供試植物50種類の中で、切り離し葉上におけるナミハダニの発育程度が優れており、かつ、栽培管理が容易な植物は5種類(チトニア、フィソステギア、ヘリオプシス、メランポジューム、ダリア)である(図1)。
2. 供試植物5種類を茶園に植栽し、代替餌のナミハダニを放飼すると、いずれの供試植物にもケナガカブリダニが誘引されるが、ケナガカブリダニを効率的に増殖できバンカー植物に最も適しているのはチトニア(Tithonia rotundifolia )である(表1図2)。
3. チトニアにナミハダニを放飼してから、約30日でケナガカブリダニの密度が最大になる(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 茶園におけるバンカー法の確立のための基礎資料となる。
2. チトニアはキク科の1年草で、耐寒性はないが耐暑性は非常に優れており、一般的な生育期間は春から秋にかけてである。試験に供試したものは、3月31日に播種した後、ガラス室内で育苗し、5月13日に茶園に植栽した。9月20日頃まで葉が繁茂した状態が続いた。
3. チトニアの植栽方法、ナミハダニの放飼量や放飼時期など、バンカー植物としての利用方法は検討中である。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:土着天敵によるカンザワハダニ制御技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2004〜2005年度
研究担当者:富所康広、磯部宏治

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