浸漬処理による大豆種子の簡易水分調節


[要約]
大豆種子を水に数秒浸漬する処理を播種の前日に行うことで、種子水分を3〜6%高めることができる。浸漬処理で水分を調節した種子の苗立率は、無処理の種子に比べて向上する。

[キーワード]ダイズ、種子、簡易水分調節、浸漬処理

[担当]三重科技セ・農業研究部・作物グループ
[連絡先]電話0598-42-6354
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田畑作物
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 大豆の発芽時の湿害回避には、種子水分を調節して播種する手法の有効性が知られており、数種類の調節方法が提案されているが、短時間で水分調節する手法については検討されていない。適水分に調節した種子を全ての圃場で使用する必要はなく、圃場条件や天候を考慮して必要と判断した場合に用いればよいと考えられることから、播種の前日または当日に簡単に水分調節できる応急的な手法を検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 種子を5kg程度に小分けして網袋に入れ、数秒水に浸漬して水切りし、ビニール袋に入れて保管することで、簡単に種子水分を高めることができる(図1)。
2. 播種前日および2日前の1回浸漬処理で2〜3%程度、前日の2回処理で5〜6%程度種子水分を高めることができる(図2)。
3. 浸漬処理した種子の苗立率は、無処理の種子に比べて高くなり、室温高湿条件で水分調節した種子と同等である(図3)。
4. 浸漬処理の1回処理と2回処理、および播種2日前処理と1日前処理の苗立率に差はみられない(図4)。

[成果の活用面・留意点]
1. 品種はフクユタカを用い、圃場試験は細粒灰色低地土の水田転換畑で実施した。
2. 浸漬処理した種子を入れるビニール袋には底面に穴を空け、水が溜まらないように注意する。2回処理する場合は、1回目の処理後に網袋の状態で20〜30分放置してから2回目を実施する。
3. 浸漬処理すると種皮にしわができるが、機械播種作業および苗立ちに悪影響はみられない。
4. 播種の4〜12時間前の浸漬処理でも水分を高めることができるが、苗立ちを安定させる効果については未確認である。また、浸漬処理した種子の貯蔵性については未確認である。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:多様な土壌条件に応じた水田転換畑の大豆高品質安定栽培技術の開発
予算区分:独法委託(ブラニチ2系)
研究期間:2003〜2005年度
研究担当者:北野順一、中西幸峰、中山幸則

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