野菜予冷庫で網袋と通気用パイプを用いた大豆種子水分の調節方法


[要約]
大豆種子30kgを詰めた籾運搬用網袋の中に通気を促す多孔パイプを挿入し、温度10℃・湿度95%程度の野菜予冷庫に約4週間貯蔵することで、種子水分を15%程度の適水分にまで均一に高めることができる。

[キーワード]ダイズ、種子、水分調節、野菜予冷庫、網袋、通気用パイプ

[担当]三重科技セ・農業研究部・作物グループ
[連絡先]電話0598-42-6354
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田畑作物
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 大豆の発芽時の湿害回避には、種子水分を15%程度に調節して播種する手法の有効性が知られており、数種類の水分調節方法が提案されている。しかし、1日で数ヘクタールを播種し、100kg以上の種子を使用する大規模経営に導入できる多量な種子の水分調節技術は未確立である。そこで、既存の野菜予冷庫や大型米低温貯蔵庫を利用した大豆種子水分調節の可能性を検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 網袋の大豆種子4kgを、温度10℃・湿度95%程度の野菜予冷庫に貯蔵すると、種子水分は約2週間で9%程度から16%程度にまで高められる(図12)。
2. 温度15℃・湿度75〜80%の大型米低温貯蔵庫では、網袋の大豆種子4kgでも種子水分を9.5%程度から13%程度に高めるのに約2ヶ月間を必要とする(図12)。
3. 大豆種子30kgを籾運搬用網袋に入れ、通気を促すため多孔パイプを差し込んで野菜予冷庫に貯蔵すると、約4週間で種子水分は10%程度から13〜15%に高まり、表層部から中央部まで概ね均一に水分調節できる(図3表1)。
4. 紙袋で貯蔵した場合や籾運搬用網袋でも通気用パイプを使用しない場合は、袋の表層部の種子水分は高まるが内部まで短期間に水分調節できない(表1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 野菜予冷庫で多量な種子を水分調節する場合、袋を積み重ねるのではなく、表面積を確保するために棚置きする等の工夫が必要である。
2. 野菜予冷庫を利用する場合、貯蔵期間が長すぎると種子水分が高くなりすぎるので注意する。
3. 野菜予冷庫を利用して水分調節した大豆種子を大型米低温庫貯蔵庫に移動して貯蔵することで、適水分で長期間保存できる可能性がある。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:出芽・苗立ちの向上による水田輪換畑大豆安定生産技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2002〜2004年度
研究担当者:北野順一、山川智大

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