二条大麦「サチホゴールデン」の奨励(認定)品種採用


[要約]
早生・多収で、整粒歩合が高く、大麦縞萎縮病I・III型及びうどんこ病に抵抗性で麦芽品質が優れる二条大麦「サチホゴールデン」を奨励(認定)品種として採用する。

[キーワード]二条オオムギ、大麦縞萎縮病抵抗性、うどんこ病抵抗性、麦芽品質

[担当]栃木農試・作物経営部・作物品種開発研究室
[連絡先]電話028-665-7087
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田畑作物(冬作物)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 栃木県におけるビール大麦栽培面積は約11,000haで、その約50%を占めている「ミカモゴールデン」は、醸造適性は高く評価されているが、整粒歩合低下による低収や、うどんこ病罹病に加え、主産地である県南部で拡大している大麦縞萎縮病ウイルス系統III型に罹病性であるため、原料の安定供給の点で難がある。また、県中北部でも大麦縞萎縮病I型の被害が拡大しておりI型罹病性の「あまぎ二条」、「なす二条」の被害が深刻化している。そこで、大麦縞萎縮病ウイルス系統I〜III型及びうどんこ病に対して抵抗性で、整粒歩合が高く多収で、麦芽品質に優れる品種を選定し、「なす二条」及び「あまぎ二条」と、「ミカモゴールデン」の一部に替え、高品質多収品種として県内ビール大麦生産地に普及を図る。

[成果の内容・特徴]
 「サチホゴールデン」(組合せ:大系R4224/関東二条29号)は「ミカモゴールデン」と比較して、次のような特徴があり奨励(認定)品種として採用する。
1. 出穂期は2〜4日早く、成熟期は同程度の早生種である。(表1
2. 稈長は短く、穂長は長い。穂数はやや少ない。(表1
3. 耐倒伏性が優れる。(表1
4. リットル重・千粒重ともに大きい。(表1
5. 整粒歩合が高く、多収である。(表1
6. 外観品質が優れる。(表1
7. 麦芽エキスがかなり高く、最終発酵度も高い。(表2
8. 総合評点は同程度に高い。(表2
9. 大麦縞萎縮病I・III型及びうどんこ病に抵抗性である。(表3

[成果の活用面・留意点]
1. 栃木県平坦地の「なす二条」及び「あまぎ二条」と、「ミカモゴールデン」の一部に替えて普及を図る。普及見込み面積は約3,000ha。
2. 耐倒伏性は強いが、極端な基肥の多肥栽培は加工品質低下を招く恐れがあるので避ける。
3. 「スカイゴールデン」と同程度に側面裂皮粒が発生しやすいので、極端な早播は避け、湿害対策に努める。
4. 穀皮が薄くはく皮しやすいので、収穫・乾燥・調製作業は丁寧に行う。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:麦類奨励品種決定調査
予算区分:県単
研究期間:2001〜2004年度
研究担当者:湯澤正明、池田二朗、山口正篤

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