草丈が短く、やや早生、大粒のダッタンソバ「北陸4号」


[要約]
ダッタンソバ「北陸4号」は、「北系1号」に比べ、草丈がやや短く、成熟期はやや早く、千粒重はやや大きい。子実重は同程度で、ルチン含量はやや少ない。

[キーワード]草丈、ダッタンソバ、品種、ルチン、早生

[担当]中央農研・北陸水田利用部・畑作物育種研究室
[連絡先]電話025-526-3246
[区分]関東東海北陸農業・北陸・水田畑作物、作物・夏畑作物
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 ダッタンソバは、毛細血管の働きを安定・強化させ、出血性の病気に予防効果があるといわれているルチンをそばの約100倍含んでおり、健康食品・機能性食品として、麺だけでなくダッタンソバ茶などに利用されている。しかし、国内消費のほとんどが中国から輸入されており、安心、安全の観点から、生産現場が確認できる国産のダッタンソバが求められている。北海道向けに北系1号(北海T8号)が育成され、栽培が始まったが、本州向けの品種は育成されていない。そこで、本州に適するダッタンソバを育成する。

[成果の内容・特徴]
1. 「北陸4号」は農業生物資源研究所ジーンバンクより分譲を受けた「ダッタン種(Rotundatum)」を育種素材として育成ものである。(表1)。
2. 開花期、成熟期は「北系1号」に比べやや早い。
3. 草丈、主茎長は「北系1号」に比べ短く、1株花房数は少ない。
4. 草型は直立・分枝伸長型である。
5. 子実重は「北系1号」と同程度で、千粒重は重く、容積重はやや重い。
6. 製粉歩留りは「北系1号」と同程度で、ルチン含量はそばの約100倍である。
7. 畑地(黒ボク土)で標高が高く(750m)寒冷な気候である長野県中信農業試験場では、子実重33.0kg/aとそば「信濃1号」より多収である(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 「北陸4号」は東北から中国地方の畑作秋そば栽培地帯に適応する。品種登録出願受理。岐阜県で栽培が検討されている。
2. 耐湿性はそばと比べて弱いので、排水対策を万全にすること。水田転換畑での栽培は極力避けること。
3. 普通そば同様脱粒し易いので、適期収穫に努める。
4. 計画的な種子更新を計り、特性の維持に努める。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:寒冷地および温暖地向き高品質・多収そば品種の開発
課題ID:03-11-08-*-06-04
予算区分:交付金
研究期間:1992〜2004年度
研究担当者:伊藤誠治、大澤良、馬場孝秀、中村恵美子、堤忠宏、荒川明、林敬子
発表論文等: 伊藤誠治(2005)北陸作報 40:146-149
品種登録出願 出願番号第18728号

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