オゾンガスを利用した鶏種卵の長期保存技術


[要約]
鶏種卵をホルマリン燻蒸後、鋭端部を上にして26日間、1日1回オゾンガスによる処理を行いながら、10℃で湿度90%以上、酸素5%、窒素95%の条件で保存することで、孵化率を低下させずに28日間保存できる。

[キーワード]オゾンガス、鶏、種卵、長期保存、酸素、ふ化率

[担当]三重科技セ・畜産研究部・中小家畜研究課
[代表連絡先]電話:0598-42-2029
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  大型ウインドウレス鶏舎の普及や鶏舎毎のオールイン・オールアウトの推進により、養鶏農場における1群あたりの飼育羽数が増大している。さらに、導入鶏の免疫の均一性の確保や鶏卵肉のトレーサビリティーへの対応が求められるため、種鶏場では同一鶏群から同じ日に雛を発生させることを余儀なくされており、種鶏1群あたりの飼育羽数を増やすことで対応している。一方、種卵は保存期間が長くなるにしたがって孵化率が低下するため、保存期間は7日間以内が望ましいとされている。そのため種鶏の数を増やさずにより多くの種卵を確保できるようにするためには、孵化率を低下させずに種卵を長期に保存する技術を開発する必要がある。

[成果の内容・特徴]
1. カビの発生を抑えることを目的に、オゾンガスによる処理を加えた種卵を28日間保存する方法(オゾンガス処理法)を考案した(表1)。この方法の特徴は24時間毎のオゾンガス処理によりオゾンガス濃度を一時的に2ppmとし、その後、大気中において18℃で1日間、24℃で1日間保存を行うことである。
2. オゾンガス処理した種卵には、28日間保存してもカビは発生しない(表2)。
3. オゾンガス処理した種卵では28日間保存しても孵化率は84%と非常に高く、無処理1日保存の対照区とまったく差がない(表2)。
4. 孵化したヒナの育成率にも対照区と差がなく良質なヒナが得られる。また成鶏時の産卵成績にも差がなく(表2)、オゾンガスによる悪影響はみられない。
5. オゾンガス処理法により孵化率を低下させずに種卵を28日間保存することができる。

[成果の活用面・留意点]
1. 産卵性の低い鶏種や種鶏の飼養羽数が制限される場合などに特に有効である。
2. 保存室内へ扉の開閉により外気が混入する場合は、その都度オゾンガス処理する。
3. 種卵は産卵後速やかに回収し、鶏糞等有機物が付着している場合は70%エタノール等で拭き取り、ホルマリン燻蒸する。


[具体的データ]

表1. 種卵を28日間保存する場合の保存条件
表2. 高湿度・オゾンガス処理下でのカビ発生率、ふ化率、産卵率

[その他]
研究課題名:東紀州地どりの飼育管理技術の確立
予算区分:県単
研究期間:1998〜2002年度
研究担当者:巽俊彰、今西禎雄、伊藤英雄

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