鯖油給与によるDHA含量の高い鶏卵の生産技術


[要約]
採卵鶏飼料に鯖油を添加給与することにより、卵黄中のドコサヘキサエン酸(DHA)含量が増加しアラキドン酸含量が減少して、n−6/n−3比の低い鶏卵が生産できる。

[キーワード]卵用鶏、鯖油、DHA、n−6/n−3比

[担当]福井畜試・家畜研究部・生産技術研究グループ
[代表連絡先]電話:0776-81-3130
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  鯖油に多く含まれるn−3系列不飽和脂肪酸のDHAには、生活習慣病や免疫性疾患の予防、改善効果がある可能性が示され、この脂肪酸を食品中に高めることはn−3系列脂肪酸に対するn−6系列脂肪酸の比率(n−6/n−3比)を下げることになり、機能性畜産物としての価値を高める。
そこで、採卵鶏への鯖油給与によるDHA含量の高い鶏卵生産技術について検討するとともに、鯖油の酸化を防止するため、抗酸化素材についても検討する。

[成果の内容・特徴]
  市販飼料に鯖油を添加給与する鯖油添加試験と、鯖油と茶葉を添加給与する茶葉添加試験を行う。いずれもボリスブラン(28羽/区×2反復)を用い21日間実施する。
1. 卵黄中のDHA含量は、鯖油添加割合が高くなるに従い増加し、3%、5%、7%区では各々対照区の3.0倍、3.1倍、3.7倍になり、n−6/n−3比は3.4から1前後に改善される(表1)。
2. 給与飼料への鯖油や茶葉の添加割合が高くなると、産卵率、産卵個数、産卵日量が低下し、飼料要求量が高くなる(表2)。また、卵黄中脂肪酸組成は、試験区では対照区に比べ、いずれもDHA含量が増加しアラキドン酸含量が減少する傾向が認められる(表1)。
3.

鯖油に茶抽出物、茶葉、ビタミンE、ハーブを添加し各々の過酸化物価を調査した結果、いずれも抗酸化力を示し、特に茶抽出物は低い添加比率で効果を示す (表3)。

4. 鯖油を7%まで添加給与しても、鶏卵(生、ゆで)からの魚臭は認められない。

[成果の活用面・留意点]
1. 鯖油を粉末化することにより取扱いが容易になり、飼料への混合作業が軽減できる。


[具体的データ]

表1 脂肪酸組成
表2 産卵成績
表3 過酸化物価(POV)

[その他]
研究課題名:機能性等特色ある鶏卵生産技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2006〜2007年度
研究担当者:一川ゆか里、田辺勉

目次へ戻る