難分解性除草剤クロピラリドの生物検定試験による濃度推定


[要約]
長野式クロピラリド生物検定法を利用し、牛ふん堆肥に含有されるクロピラリドの濃度を簡易に推定できる。クロピラリド含有堆肥は土壌と混合して保管すると分解が早まると予想される。

[キーワード]難分解生除草剤、クロピラリド、生物検定、牛ふん堆肥

[担当]群馬畜試・資源循環研究グループ
[代表連絡先]電話:027-288-2222
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(畜産環境)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  県内におけるクロピラリドによる作物への生育障害発生を未然に予防するため、生物検定による堆肥中クロピラリド濃度簡易推定法の有効性を検討するとともに、堆肥を土壌と混合した際のクロピラリドの消長を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. サヤエンドウを用いた生物検定(長野県中信農業試験場。ホルモン型除草剤残留の生物検定マニュアル)により、堆肥中のクロピラリドの有無、濃度の推定ができる(表1)。
2. 堆肥は培養土により6倍希釈(堆肥1:培養土5)及び11倍希釈(堆肥1:培養土10)し、既知のクロピラリド濃度で生育させたサヤエンドウの障害程度と比較し、該当する土壌中濃度を求める障害程度とし、下記の式から堆肥のクロピラリド推定濃度を計算、6及び11倍希釈の推定濃度の平均値を代表値とする。
堆肥のクロピラリド推定濃度(μg/堆肥kg)
  =障害程度を示すクロピラリド濃度(μg/乾土kg)×培養土仮比重(kg/L)×希釈倍率×(1/堆肥仮比重kg/L)
3. 堆肥のクロピラリド推定濃度と機器分析(LC-MS法)によるクロピラリド分析結果には、高い相関関係が認められる(図1)。
4. サヤエンドウを用いた生物検定(堆肥1:培養土5)によりクロピラリドの有無を確認し、障害程度より、作物のクロピラリドへの感受性に応じ、堆肥施用の可・不可、及び施用量の制限を実施し、作物への生育障害の未然防止を図る(表2)。
5. 堆肥に含有するクロピラリドは、6カ月経過後でも当初の80%であるが、土壌と1:1で混合した場合は30%まで低下し、1:5で混合した場合は検出されなくなる(図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 堆肥を希釈する培養土には牛ふん堆肥を含まないものを使用し、生育温度は15℃を下回らないよう注意する。


[具体的データ]

表1 クロピラリド濃度とサヤエンドウの症状が現れる葉位
図1 生物検定及び機器分析の堆肥推定クロピラリド濃度
図2 堆肥中のクロピラリドの減少
表2 サヤエンドウを用いた生物検定による堆肥の障害評価(堆肥1:培養土5)

[その他]
研究課題名:県内で発生したトマト生育障害についてクロピラリド生物検定調査
予算区分:県単
研究期間:2005〜2006年度
研究担当者:高橋朋子、山田正幸

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