糖度が高い極早生ウンシュウ新品種「みえ紀南1号」


[要約]
極早生ウンシュウ「崎久保早生」に「サマーフレッシュ」を交配して得られた珠心胚実生の新品種「みえ紀南1号」は、「崎久保早生」に比べて糖度が高く減酸も早い。

[キーワード]極早生ウンシュウ、新品種、高糖度、「みえ紀南1号」

[担当]三重科技セ・農業研究部・紀南果樹研究室
[代表連絡先]電話:05979-2-0008
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  三重県は温暖な気候を利用した極早生ウンシュウの栽培が盛んで、「崎久保早生」が主力品種である。「崎久保早生」は極早生ウンシュウの中では減酸が早く早熟な品種であるが糖度がやや低い。現在は、マルチ栽培の導入により高糖度化を図っているが、マルチをしなくても糖度が高い極早生ウンシュウ品種の開発が望まれている。そこで、本県に適応する糖度が高い極早生ウンシュウの育成を図る。

[成果の内容・特徴]
1. 本品種は、1993年(平成5年)に紀南かんきつセンター(現紀南果樹研究室)において、「崎久保早生」に「サマーフレッシュ」の花粉を交配して得られた種子から育成された珠心胚実生である。2001年から本格的に果実品質調査を開始した結果、早熟で糖度も高いことから、2006年2月に「みえ紀南1号」として品種登録出願した。
2. 樹姿は開張性で樹勢は中である。長いとげが発生するが接ぎ木を行うことで短く少なくなる。発芽および開花期は「崎久保早生」とほぼ同時期である(表1)。
3. 果実の大きさおよび果形指数は「崎久保早生」と同等である。果皮の着色は「崎久保早生」に比べてやや早く、果肉色も濃い(表2)。
4. 糖度は「崎久保早生」より9月上旬において1.6%、10月上旬において1.4%高い。また、クエン酸の減少も早いため早期収穫が可能である(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 新品種の導入により、マルチをしなくてもマルチ栽培と同等な糖度の果実生産が可能である。
2. 現在、関係団体と連携しながら県内農家に普及を図っている。


[具体的データ]

表1 「みえ紀南1号」の特性(2005年)
表2 「みえ紀南1号」の果実形質(2005年および2006年の平均)
図1 「みえ紀南1号」の果実(左)と接ぎ木樹の結実状況(右)

[その他]
研究課題名:三重のふるさと特産果樹新品種の開発
予算区分:県単
研究期間:2004〜2006年度
研究担当者:市ノ木山  浩道、前  博視

目次へ戻る