アリウム「オータムヴィオレ」切り花のGA前処理による日持ち向上


[要約]
アリウム「オータムヴィオレ」の切り花に対して、10〜25ppmのGAを16時間前処理することで、花茎の黄変抑制と日持ちが延長する。

[キーワード]アリウム、オータムヴィオレ、切り花、GA、日持ち、前処理

[担当]福井園試・花き研究グループ
[代表連絡先]電話:0770-32-0009
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  福井県が育種した秋咲きアリウム「オータムヴィオレ」は、切り花用として需要があるが、日持ちが比較的短い。そこで、「オータムヴィオレ」切り花に日持ち延長効果のある前処理剤を開発するために、GA3の前処理が「オータムヴィオレ」切り花の日持ちに及ぼす影響について明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. アリウム「オータムヴィオレ」切り花に対し、1ppm以上の濃度のGAを水あげ時に前処理することで、花茎の黄変が抑制される(表1)。
2. 「オータムヴィオレ」切り花に対して、10ppm〜50ppmのGA前処理を行うことで、小花の開花が抑制され、約10日間日持ちが延長される(表2図1)。ただし、30ppm以上のGAで前処理を行うと、小花径の減少と、開葯しないまま萎凋する小花が増加する傾向がみられ、花序のボリュームが若干劣る(図2)。そのため、GA前処理は10〜25ppmの濃度が適当である。
3. 10〜25ppmのGAの前処理時間は16時間行う。

[成果の活用面・留意点]
1. GA前処理は、同属の「コワニー」と「ギガンチューム」に対しても効果があるが、処理濃度と時間は、検討を行う必要がある。
2. 前処理液は2回まで使用できるが、再利用する場合は切り花の花粉等が前処理液に入らないよう工夫する。


[具体的データ]

表1 前処理時のGA3濃度が「オータムヴィオレ」切り花の花茎色に及ぼす影響 図2 前処理時のGA3 濃度が「オータムヴィオレ」切り花の花序と小花の大きさと開花に及ぼす影響
表2 前処理時のGA3濃度が「オータムヴィオレ」切り花の日持ちに及ぼす影響
図1 前処理時のGA3濃度が切り花の開花小花数に及ぼす影響

[その他]
研究課題名:県特産花きに用いる環境にやさしい品質保持技術の開発
予算区分:国補(地域科学技術振興研究事業)
研究期間:2004〜2006年度
研究担当者:坂本浩、小森治貴、栗波哲、土井元章(信州大学)

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