のらぼう菜の連続収穫体系の確立に向けた在来系統の評価


[要約]
のらぼう菜川崎在来系統間には早晩性および収量に関する系統間差異が存在し、この系統を組み合わせて活用することにより、連続収穫体系の確立が可能である。

[キーワード]のらぼう菜、川崎在来系統、収量、収穫期間、早晩性、ナタネ、ナバナ

[担当]神奈川県農技セ・野菜作物研究部・野菜担当
[代表連絡先]電話:0463-58-0333
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  花蕾および茎葉を食用とするのらぼう菜は洋種ナタネに属し、川崎市菅地区で古くから自家用に栽培されている地方野菜である。茹であがりの色が鮮やかで、甘味が強く、近年直売所での販売が増加していることから、地産地消を推進する重要品目として位置づけられている。現在、当所で収集した川崎在来系統は14系統あり、それらが有する遺伝的変異を活用して安定的な連続収穫体系を確立するため、系統ごとの早晩性及び収量を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 早晩性については、収穫開始日に関して系統間に45日の変異幅が存在する。また、は種から収穫迄の日数(3か年平均)により系統群を早生(170日以前)、中生(171〜190日)および晩生(190日以降)に分けて収量を比較すると、早晩性系統群のそれぞれの中に、50〜60日程度にわたって収穫できる多収系統(早生;No.14、中生;No.9等、晩生;No.8)が存在する(表1図1)。
2. 収量は年次間で変動したが、調査を実施した3か年とも高い収量性を示した系統No.9は、環境適応性が高く、安定生産可能な系統である(表1)。
3. 収穫期間中の収穫花茎数は収穫開始後35日を最大としてそれ以降は減少するが、花茎重は初期が最大で以降減少し、45日以降は安定する(図2)。
4. 以上のことから、早晩各系統の中から多収系統を選抜し、早生系統の収穫期間が約45日経過した時期に早晩系統の収穫が重複するように組み合わせて栽培することにより、は種、定植時期をずらすことなく2月中下旬から5月初旬までの間の連続収穫体系を確立することができる。

[成果の活用面・留意点]
1. のらぼう菜の連続収穫体系の確立に係る指導時に活用する。
2. 気象の年次変動によっては、収穫の開始および終了の時期が変動することがある。


[具体的データ]

表1 のらぼう菜の系統別の早晩性と収量の関係
図1 のらぼう菜の系統別収穫期間(平成17年度)
図2 収穫期間中の花茎数および花茎重の変化(H17供試系統品種平均)

[その他]
研究課題名:優良種苗の特性検定試験
予算区分:県単
研究期間:2003〜2005年度
研究担当者:北浦健生、河田隆弘、北宜裕

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