県産パン用小麦「ハルイブキ」の各種ブレンドによるパン加工適性


[要約]
「ハルイブキ」に発芽玄米や発芽小麦全粒粉及び、農林61号とアヤヒカリを一定割合ブレンドすることにより、外観を損なわず、風味と食感を活かしたパンができる。

[キーワード]コムギ、ハルイブキ、パン、ブレンド

[担当]埼玉農総研・食品加工担当
[代表連絡先]電話:048-536-6034
[区分]関東東海北陸農業・流通加工
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  パン用小麦「ハルイブキ」は、パン適性があり県内で栽培が始まり、学校給食用にも提供されている。また、農産物直売所やパン業界からも注目されている。
  食の多様化に対応した発芽小麦の全粒粉、小麦「農林61号」、小麦「アヤヒカリ」のブレンド割合や、発芽玄米粉を検討し、新たなブレンドパンの開発と製造方法を確立する。
  ブレンドパンの製造方法を農産物直売所やこだわりパン業界、学校給食会へ普及する。

[成果の内容・特徴]
1. 埼玉県産ハルイブキ小麦粉に発芽玄米全粒粉を10%、20%、30%の3種類のブレンドと対照(発芽玄米全粒粉0%)で試験をした結果、発芽玄米全粒粉20%が、重量と体積からみて、パン適性の限界であった(図1)。
2. ハルイブキ小麦粉にハルイブキ発芽全粒粉を10%、30%、50%の3種類ブレンドした場合、パン適性があるのは30%まである(表1)。食味評価では、ブレンドすることで、甘味、風味があり食感の良いパンになった。
3. ハルイブキ小麦粉に麺適性のある小麦「農林61号」20%及び麺や製菓適性のある小麦「アヤヒカリ」を10%ブレンドすると、ハルイブキ小麦粉100%と比較して、断面がキメ細かで膨らみのあるパンになった(写真1)。
4. アンケートによる食味評価を3種類のロールパンで行った。ハルイブキ小麦粉にハルイブキ全粒粉20%ブレンド、ハルイブキ小麦粉に米粉10%ブレンド、ハルイブキ小麦粉に農林61号20%+アヤヒカリ10%ブレンドのパンの食味評価は、ハルイブキ全粒粉ブレンドが42%、米粉ブレンドが30%、農林61号+アヤヒカリブレンドが28%とほぼ好みが3分散した(図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 農産物直売所やこだわりパン業界へ情報提供をする。
2. 学校給食会では、県産小麦で特徴のあるパンを提供しているため、連携してメニューに活用する。


[具体的データ]

図1 発芽玄米全粒粉ブレンド割合別の重量と体積 表1 ロールパンの食味評価
写真1 ハルイブキとブレンドパンの断面比較 図2 ハルイブキのブレンドパン(ロールパン)食味アンケート結果(回答数183)

[その他]
研究課題名:原料ブレンドによるパン製造技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2004〜2006年度
研究担当者:増山富美子、茂木光子、池田順子、堀口和男

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