かんしょ「べニアズマ」のデンプン含量と食味特性の関係


[要約]
かんしょ「ベニアズマ」の生いもデンプン含量は生いも比重測定により簡易に評価でき、生いもデンプン含量の違いにより食味特性に差が認められる。生いもデンプン含量の中間のものは、掘取直後〜掘取2ヶ月後の食味評価が安定して良い。

[キーワード]かんしょ、ベニアズマ、生いもデンプン含量、蒸しいもの食味特性

[担当]茨城農総セ・農研・環境・土壌研究室・作物研究室
[代表連絡先]電話:029-239-7210
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田作畑作
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  青果用かんしょ「ベニアズマ」は、市場からばらつきが少なく食味の良いものが望まれ、さらに生産現場から食味の簡易評価法の開発が求められている。そこで、本県の主産地である行方地域で栽培されている生いもデンプン含量の違う「ベニアズマ」を用い、掘取後の時期別の蒸しいもの食味特性を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 生いもデンプン含量は生いもの比重測定により簡易に評価できる。さらに、デンプン含量の違いにより3グループ(タイプⅠ、Ⅱ、Ⅲ)に分類できる(図1)。
2. 生いもデンプン含量の違う掘取直後の蒸しいも食味官能試験の結果、タイプⅠ、Ⅱ、Ⅲでは食味総合評価に差がみられる(図2)。
3. 生いもデンプン含量の少ない蒸しいも(タイプⅠ)は、Brix糖度が低く、肉質が掘取直後から粘質である。Brix糖度および甘味の変化がわずかで、総合評価は低い(図23)。
4. 生いもデンプン含量が中間の蒸しいも(タイプⅡ)は、Brix糖度が中間の値を示す。肉質はデンプン含量の高いものより粘質で甘味も感じるため、掘取直後〜掘取2ヵ月後の総合評価は安定している(図23)。
5. 生いもデンプン含量が多い蒸しいも(タイプⅢ)は、Brix糖度が高いが、掘取直後では肉質が粉質のため、甘味を感じられず総合評価は低い。しかし、掘取後の日数経過とともに肉質が粘質になり、甘味が高まる(図23)。

[成果の活用面・留意点]
1. 行方市現地圃場(4ヶ所)の供試VF系統はKA-7を用いた掘取直後〜掘取2ヶ月後までの調査結果である。なお、挿苗は5月中旬、掘取りは10月中旬である。また、貯蔵方法は14℃の定温(キュアリング処理未実施)である。
2. 栽培圃場毎の生いもデンプン含量(比重)を20〜30本程度調査することにより、圃場毎の食味特性が把握可能である。


[具体的データ]

図1 生いもデンプン含量の違いによるクラスター分析による分類(2003〜2005,15圃場調査結果)
図2 生いもデンプン含量の違いによる掘取直後の蒸しいもの食味総合評価(2004)
図3 生いものデンプン含量別の蒸しいもの食味特性(2004)

[その他]
研究課題名:かんしょに対する商品性向上技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2002〜2005年度
研究担当者:折本美緒、樫村英一、池羽正晴、塚本心一郎、茂垣慶一

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