防虫網によるトマト栽培終了時のタバココナジラミ逃亡防止効果


[要約]
トマト栽培終了時のタバココナジラミ逃亡防止に0.4mm目合い防虫網は有効であるが、タバココナジラミ高密度条件下でハウス密閉処理前に抜根をする場合には効果が不十分となる

[キーワード]タバココナジラミ、防虫網、トマト、ハウス密閉処理

[担当]三重科技セ・農業研究部・循環機能開発研究課
[代表連絡先]電話:0598-42-6360
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・病害虫(虫害)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  三重県内トマト産地ではトマト黄化葉巻病(以下黄化葉巻病)が発生し、被害が問題となっている。黄化葉巻病防除ではトマト栽培終了時にハウス密閉処理を行うことで、ウイルス保毒虫を含むタバココナジラミを施設外に逃亡させないことが重要とされている。そこで、黄化葉巻病発生地域におけるトマト栽培施設からのタバココナジラミ逃亡の実態と、目合いの細かい防虫網によるタバココナジラミ逃亡防止効果を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. タバココナジラミは栽培終了後、ハウス密閉処理の際、トマトが萎れると成虫が植物体から離脱し、施設内の黄色粘着板に多く捕獲される。同時期に施設周辺部に設置した黄色粘着板の捕獲数が増加する。このことから、ハウス密閉処理の作業過程で、植物体から離脱したタバココナジラミが施設外に逃亡していると考えられる(図1)。
2. 0.4mm目合いの防虫網を施設開口部に設置することで、タバココナジラミ逃亡率は抑制される。特に密閉処理前の逃亡防止効果が高い(図2AB)。
3. ハウス密閉前に抜根する場合は、0.4mm目合いの防虫網の効果によりタバココナジラミ逃亡率は低く推移するが、抜根・密閉直後に多くのタバココナジラミが株から離脱するため、施設外に逃亡する個体数も多く、0.4mm目合いの防虫網による逃亡防止効果は不十分である(図2C)。

[成果の活用面・留意点]
1. 施設から逃亡するタバココナジラミを抑制するためには、施設内のタバココナジラミを栽培終了時期まで低密度に管理することが重要である。
2. ハウス密閉処理中は、タバココナジラミがトマト株から離脱して施設外に逃亡する個体数が増加するため完全に密閉を行う必要がある。


[具体的データ]

図1 施設内と施設周辺のコナジラミ類成虫発生消長(現地調査)
図2 ハウス密閉処理時の防虫網によるコナジラミ類逃亡防止効果(場内試験)

[その他]
研究課題名:減農薬を基幹としたICMを目指す施設栽培トマト生産技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2004〜2006年度
研究担当者:西野実、北上達

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