堆肥連用による砂壌土輪換ほ場の土壌窒素肥沃度向上


[要約]
水稲−水稲−ダイズ体系の長期輪換ほ場における3年に2回の堆肥2t施用は、連用回数が多くなるにしたがい土壌窒素供給力を向上させる。土壌窒素供給力の向上による窒素発現は開花期以降に多く、ダイズの窒素吸収量も増加する。

[キーワード]長期輪換ほ場、堆肥連用、土壌窒素供給力

[担当]富山農技セ・農業試験場・土壌肥料課
[代表連絡先]電話:076-429-5248
[区分]関東東海北陸農業・北陸・生産環境
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  田畑輪換の長期化によるダイズの生産力低下が問題となっており、その一因として地力窒素肥沃度の低下が考えられている。地力の維持・回復を図るための対策として堆肥等有機物の施用が最も一般的な方法であるが、田畑輪換における継続的な堆肥の施用が土壌の窒素供給力及びダイズの生育に及ぼす影響については明らかにされていない。
  そこで、堆肥の連用が土壌の窒素供給力及びダイズの窒素吸収に及ぼす影響について明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 3年に2回の堆肥2t連用により、土壌中の全炭素、全窒素含量は増加する(図1)。
2. 土壌の可給態窒素及び乾土効果の増加は連用回数3巡目で化学肥料区との差が顕著となる(図2)。
3. 土壌窒素供給力の向上により作付期間中の土壌窒素無機化量は化学肥料区に比べ常に高く推移する。特に開花期以降の無機化窒素量は化学肥料区との差が大きく、ダイズの窒素吸収量も高くなる(図3)。
4. 堆肥連用回数が多くなるにしたがい、化学肥料区に比べ収量が多くなる(図4)。

[成果の活用面・留意点]
1. 腐植含量が少ない砂壌土水田における土づくりの参考となる。
2. 堆肥連用により土壌からの窒素供給量が高まることから、2巡目以降の水稲作付時には2kgN/10a程度の基肥減肥が必要となる。


[具体的データ]

図1 跡地土壌中の全炭素及び全窒素の推移
図2 堆肥施用による可給態窒素、乾土効果の増加量 図3 ダイズ作付期間中の土壌無機化窒素量及びダイズの窒素吸収量(H17)
図4 ダイズの収量指数の推移

[その他]
研究課題名:田畑輪換ほ場における堆きゅう肥連用試験
予算区分:県単(土壌保全)
研究期間:1998年度〜
研究担当者:小池潤、岡山清司、山田宗孝

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