傾斜化ほ場を対象とした明渠と心土破砕による排水性改善効果


[要約]
排水対策として、ほ場長辺方向に勾配をつけた傾斜化ほ場では、心土破砕をほ場傾斜方向に対して約45°で斜めに施工した後、基幹明渠および額縁明渠とつなげることで基幹明渠から5mの範囲では高い排水性改善効果が得られる。

[キーワード]傾斜化ほ場、心土破砕、施工方向、明渠、排水性改善

[担当]中央農研・大豆生産安定研究チーム
[代表連絡先]電話:029-838-8813
[区分]共通基盤・作業技術、関東東海北陸農業・作業技術
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  収穫時期が台風や長雨と重なることが多い茨城県利根川地域の露地レタス産地では、転換畑ほ場の傾斜化による排水対策が行われている。しかしながら、経年により圃場が不均一となった箇所を中心に滞水しやすく、平成16年の台風22、23号時などレタスがほ場滞水による湿害により収穫できない被害が発生しており、慣行作業として実施されているほ場傾斜方向に沿って心土破砕する方法では十分な排水性改善効果が得られない場合がある。そこで、農家が簡易に実行できる明渠と心土破砕と組み合わせた排水改善技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
1. 作業深さを同じに設定した心土破砕と明渠を組み合わせて、心土破砕をほ場傾斜方向に対して約45°で斜めに施工した後、額縁明渠を設置し、額縁明渠から長辺方向に沿って基幹明渠を設置すると、ほ場傾斜を利用して直近の明渠に排水されるため、慣行作業と比較して土壌水分が速やかに低下し、体積含水率では5〜15%前後低下する。またその効果は明渠から5m前後まで認められ、5m間隔で基幹明渠を施工するとほ場全体で高い排水性改善効果を保持できると推察される(図1)。
2. ほ場傾斜方向と直交に心土破砕すると、近くに基幹明渠を設置してもほ場傾斜を利用した排水ができないため、基幹明渠から2m以上離れた場合には慣行作業と比較して有意に排水性が低下する(図2)。
3. 額縁明渠の設置は、ほ場から流亡した土砂を額縁明渠内に堆積させるため、排水路の排水能力の低下を軽減できる。またその効果は、レタスのマルチ栽培(作業幅約170cm、畝幅約110cm、畝高さ約10cm)において、定植後から40日間に141mmの降水量の場合、20.6kg/10a(乾土)であった(表1)。
4. 心土破砕すると土壌水分が低下しても土壌硬度が向上せず、降雨後に作業性が低下したり、収穫期では降雨後速やかな収穫作業が行えず、損失が増える可能性がある。このため畝立て栽培では畝立て作業後に畝間鎮圧すると排水性改善効果を維持しながら地耐圧を向上させることができ、降雨による作業への悪影響を軽減できる(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本技術は、レーザー均平が実施困難な傾斜化ほ場の排水改善技術の資料として活用できる。
2. 斜め方向処理は、基幹明渠の施工に伴い、作業時間の増加(表)や作付け面積減少、管理作業における作業性の低下などの影響を伴う可能性がある。
3. 排水性改善効果の持続性については別途検討が必要である。


[具体的データ]

図1 ほ場形状と処理方法 表1 耕種概要および供試機諸元
図2 心土破砕の施工方向、明渠からの距離と土壌水分の関係 図3 畝間鎮圧による土壌硬度および土壌水分への影響

[その他]
研究課題名:大豆生産不安定要因の解明とその対策技術の確立
課題ID:211-c
予算区分:高度化事業
研究期間:2005〜2007年度
研究担当者:国立卓生

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