フレール型収穫機による飼料イネ収穫時の圃場内損失


[要約]
フレール型の飼料イネ用ロールベーラを用いた飼料イネの収穫・調製作業では、作物地上部総量に対する頭部損失は、刈り取り時の作業速度が速いほど多くなり、栽植密度が高いほど多くなる。排出時損失などの他の損失は大きく変動しない。

[キーワード]飼料イネ、フレール型収穫機、圃場内損失、作業速度、栽植密度

[担当]中央農研・北陸大規模水田作研究チーム
[代表連絡先]電話:025-523-4131
[区分]共通基盤・作業技術、共通基盤・総合研究(飼料イネ)、関東東海北陸農業・作業技術
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  フレール型の飼料イネ用ロールベーラ(以下収穫機)は、刈り取り部で稲体を細断しながら収穫・梱包するため発酵品質に優れるほか、予乾作業に対応可能で牧草等の他作物への汎用利用ができる利点もあるが、他の方式と比較して収穫時の圃場内損失が多いとされている。特に、地際刈りによる坪刈り収量と機械刈りの実収量(全刈り収量)の間には大きな差があり、その実態の解明が求められている。そこで圃場内損失の実態を把握するために、作物地上部総量に占める各損失の割合について、栽植の密度及び刈り取り作業速度による違いを検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 飼料イネ収穫・調製作業時の圃場内損失は、収穫機の刈り取り部から飛散・落下する頭部損失、成形・結束済みのロールベールを放出する際に一緒に落下する排出時損失、及び、刈り残しとして圃場に残存する刈り株損失の比率が高い。通風ダクトから後方に排出される排塵損失、成形室空隙からの漏出等は微量である(表1)。
2. 頭部損失は、作業速度が速くなるほど増え、黄熟末期には速度による影響がさらに強くなる(図1)。また、排出時損失等の他の損失は作業速度に関わらずほぼ一定であり、頭部損失を含む収穫機損失全体は頭部損失と同様に速度とともに増える傾向を示す。
3. 頭部損失は、疎播では少なく密播になるほど多くなる。すなわち、単位面積あたりの茎数が多いほど損失率は高い(図2)。排出時損失などの他の損失は栽植密度に関わらずほぼ一定である。
4. 排出時損失は、作業速度や栽植密度に関わらず常に8%程度である(図1)。しかし、ロールベール1個あたりの排出時損失の絶対量は、ロールベール密度が低い時にやや増える傾向がある(図3)。成形室空隙からの漏出(走行時漏出と結束時漏出)や排塵損失は、頭部損失・排出時損失に比べて量が少なく、作業速度や栽植密度による影響は特に認められない。

[成果の活用面・留意点]
1. フレール型専用収穫機を用いて飼料イネ収穫・調製作業を行う際に、機械作業による損失を少しでも減らし、実収量を向上させるための参考となる。
2. 収穫ステージによる変動及び刈り株損失の詳細については、平成16年度成果情報(http://narc.naro.affrc.go.jp/chousei/shiryou/kankou/seika/kanto16/14/16_14_03.html)を参照。
3. 黄熟期以降は、1m/s以上の作業速度では成形室で穀実の詰まりが生じやすいので、注意が必要である。


[具体的データ]

表1 圃場内損失内訳の調査事例 図1 作業速度による損失の変動
図2 栽植密度による損失の変動 図3 排出時損失と成形室漏出の変動

[その他]
研究課題名:北陸地域における大規模水田作の高精度管理技術と高品質飼料イネ生産技術の開発
課題ID:212-b
予算区分:北陸大麦飼料用稲輪作
研究期間:2003〜2007年度
研究担当者:元林浩太、湯川智行、小島誠

目次へ戻る