作物の植被率をリアルタイム出力する車載型植被率センサ


[要約]
トラクタに近赤外のIEEE1394デジタルカメラと小型PCを搭載することで、大豆などの作物の植被率をリアルタイム計測し、RS-232Cから出力する車載型センサである。大面積の圃場全体の植被率を中耕培土作業などと併行して効率的にセンシングできる。

[キーワード]ダイズ、植被率、車載センサ、近赤外カメラ、画像処理

[担当]中央農研・高度作業システム研究チーム
[代表連絡先]電話:025-526-3236
[区分]共通基盤・作業技術、関東東海北陸農業・作業技術
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  大豆や小麦では圃場内の生育むらが、収量や品質に直接影響するため栽培期間中における生育量の把握が重要である。水稲や大豆の生育量測定ツールとして簡便な植被率カメラ(平成16年度研究成果情報)が市販されているが、大規模圃場全体の植被率をマップ化するには時間がかかり能率が低い。さらに今後、可変作業可能なPF機器をセンサベースで制御するためには、作業と同時計測が可能な車載センサが必要である。そこで、トラクタにカメラと画像処理装置を搭載し、リアルタイムに植被率を計測・出力する車載型センサを開発した。

[成果の内容・特徴]
1. 車載型植被率センサは、近赤外830nmのバンドパスフィルタを装着したIEEE1394デジタルカメラと画像処理して植被率を出力する小型PCから構成されている(図1)。 植被率は、約0.25または0.5sec間隔で、RS-232CよりASCII形式で出力される。測定範囲は約1m×0.9mで、大豆の1畝1条分である。
2. IEEE1394デジタルカメラは1/3インチのCCD、解像度は1024×768、フレームレートは最大30フレーム/秒、重量は約380g(レンズとフィルタ含む)で、電源含めてIEEE1394ケーブル1本でPCと接続し、制御する。カメラは、地上高1.8mの位置で作物の条列の真上にカメラが位置するように鉛直下方向に向けて固定する。カメラ固定用フレームは、トラクタ前部のウェイト取り付け部に小型PCと共に装着する(図2左)。
3. 小型PCでは本センサ専用に開発した画像処理プログラムが実行されており、(1)画像取込み・表示、(2)画像処理(二値化による植物の抽出・表示)、(3)植被率(任意面積に対する植被割合)の算出・表示、(4)データ出力を連続処理している(図2)。また、二値化の閾値は、判別分析法(大津の方法)を用い決定している。
4. 本センサにて中耕培土時に車載移動計測した植被率は、植被率カメラ(K社GAC-PS2)で5mごとに定点測定した植被率と高い相関(r=0.91*)を示し(図3)、大豆の生育状況に応じた植被率を連続計測することが可能である(図4)。
5. 本センサによる植被率の有効測定範囲は約15%〜80%であり、植被率カメラと同様に大豆の初期生育から開花期、小麦の初期生育(麦踏時期)に適用できる。

[成果の活用面・留意点]
1. 本センサは、センサベースおよびマップベースのPF機器として活用できる。
2. 予め畝幅に合わせて画像抽出の領域を設定するなど測定範囲を調整する必要がある。
3. 植被率の有効測定範囲外や高照度条件では植被率カメラと同様に誤差が大きくなる。
4. 車載計測試験時の走行速度は最大0.5m/secであり、それ以上の場合、振動の増大による取得画像のブレの発生に留意する必要がある。


[具体的データ]

図1 車載型植被率センサの概略 図2 リアルタイム計測中の画像処理画面
図3 本センサと植被率カメラ※の比較 図4 中耕培土時の移動計測によるリアルタイム出力例

[その他]
研究課題名:農作業の高精度化・自動化等による高度生産システムの開発及び労働の質改善のための評価指標の策定
課題ID:223-a
予算区分:交付金プロ(精密畑作)
研究期間:2003〜2007年度
研究担当者:大嶺政朗、帖佐直、細川寿

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