荷受け時小麦品質迅速計測システム


[要約]
冷却ホッパ、脱ぷ部、細粒除去部等で構成される冷却整粒化装置と高水分小麦検量線を搭載した近赤外分析装置を組み合わせることにより、1サンプルあたり4分程度で、荷受け段階の小麦の水分、粗タンパク含量を予測標準誤差0.58、0.21%で計測できる。

[キーワード]小麦、高水分、粗タンパク含量、近赤外、整粒

[担当]中央農研・高度作業システム研究チーム
[代表連絡先]電話:029-838-8815
[区分]共通基盤・作業技術、関東東海北陸農業・作業技術
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  小麦の品質を知るためには、生サンプルを乾燥させる必要があり時間を要する。収穫物の均質化、ロットの大型化に資するためには荷受け時の迅速品質計測技術が必要であり、小麦(原麦)の水分と粗タンパク含量の非破壊計測手法として確立しつつある近赤外分光法と、誤差要因を取り除く冷却整粒化技術と組み合わせて計測するシステムを開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 本システムは、近赤外分光法での誤差要因であるサンプル温度を一定にし、夾雑物、細粒などを除去する冷却整粒化装置と、高水分小麦の検量線を搭載した近赤外分析装置(F社infratec1241)とで構成される(図1)。
2. 冷却整粒化装置は、冷風発生部、冷却ホッパ、脱ぷ部、唐箕部、細粒除去部からなる。品質計測用サンプルは500g程度必要で、冷却ホッパに投入し、冷風発生部(2.2kWスポットクーラ)からの冷風をサンプル穀層に通風して冷却する。冷却ホッパ内の2か所のサンプル穀層の温度が室温を下回った時に、シャッタを開いてサンプルを脱ぷ部へ投下する。包皮粒は定格回転数の約50%(1800rpm)で運転されるインペラ式籾すり機により脱ぷされる。その後、唐箕部で穎(包皮)などの夾雑物を除去し、篩目2.2mmの回転篩により細粒を除去して整粒が排出される。
3. サンプル中に含まれる包皮等の夾雑物と細粒をどれだけ除去できたかを整粒化割合とすると、小麦水分32%以下では整粒化割合を65%以上、夾雑物の残存割合を0.5%以下にできる(図2)。連続して冷却整粒化処理を行い近赤外分析装置で測定を行う場合、1サンプル当たり4分程度で作業可能である。
4. 水分は、32%以上の高水分域では冷却通風処理の影響により、絶乾法(10g粒135℃24時間法)よりやや低いが、32%以下ではほぼ絶乾法による水分に等しい。全体で見ても予測標準誤差(SEP)0.58%で測定可能であり、広い水分域で十分な精度で使用できる(図3)。
5. 粗タンパク含量は、冷却整粒化装置を用いないとドリフトして誤差の分布が大きい場合があるが、冷却整粒化装置を併用することで、水分18〜32%の範囲では、従来法であるケルダール法との比較でSEP0.21%で計測可能であり、荷受け時の粗タンパク含量計測に使用できる(図4)。

[成果の活用面・留意点]
1. 農林61号を供試した結果であり、荷受け段階で小麦の水分、粗タンパク含量を計測可能で、精密農業のための生産物情報として活用できる。
2. 水分を食糧庁方式(5g粉砕-105℃-5時間法)で計測するには乾燥温度で換算した検量線を構築する必要がある。
3. 水分32%以上のサンプルでの粗タンパク含量計測は精度が劣る。粗タンパク含量の品質基準によるランク区分の範囲に品質を収めるためには、予め誤差範囲を見込んで、より厳しい範囲で選別することが必要である。


[具体的データ]

図1 冷却整粒化装置と近赤外分析装置による荷受け時小麦品質迅速計測システム 図2 冷却整粒化装置による小麦サンプルの整粒化
図3 供試システムによる水分計測 図4 供試システムによる粗タンパク含量計測(サンプル水分18〜32%)

[その他]
研究課題名:農作業の高精度化・自動化等による高度生産システムの開発及び労働の質改善のための評価指標の策定
課題ID:223-a
予算区分:交付金プロ(精密畑作)
研究期間:2003〜2007
研究担当者:玉城勝彦、関正裕
発表論文等:玉城(2008)、農業機械学会誌、70(1):13-15

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