冬季代かき導入による不耕起V溝直播栽培の使用水量


[要約]
冬季代かきを行った不耕起V溝直播栽培水田における減水深は、慣行の移植栽培水田の減水深と同程度に保たれ、給水量と有効雨量の和である使用水量にも有意な差は見られない。

[キーワード]水田、冬季代かき、不耕起、V溝直播、慣行移植、使用水量、減水深

[担当]愛知農総試・環境基盤研究部・農業工学グループ
[代表連絡先]電話:0561-62-0085
[区分]関東東海北陸農業・作業技術
[分類]行政・参考

[背景・ねらい]
  代かきを行わない不耕起乾田直播栽培水田は亀裂などにより耕盤層が弱まり、慣行移植栽培(以下、移植)に比べ日減水深が約2倍に増加すると報告されている(李ら、2003農業土木学会論文集No.224 45〜52、岐阜県瑞穂市巣南地区)。
  一方、愛知県農業総合試験場が開発した不耕起V溝直播栽培(以下、V直)は、冬季利水が可能な地域においては冬季代かきを推奨している。しかし、冬季代かきによるV直水田の水需要量は未解明なため、調査研究(平成16〜19年までの4年間)により明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 調査区域は、名古屋市港区のほ区単位のまとまったV直及び移植の水田(3.7ha、コシヒカリ)である(図1)。平成18年の土壌調査から、土壌断面は深さ80cmまで粘質土層である(図1)。
2. 給水量は給水桝に水位測定器を設置し、給水開始から落水までの越流水深から算定する。日減水深は、代かき後水位測定器を排水口付近の水田面に設置し、給排水の停止日かつ無降雨期間の水位低下量を日当たりで算定する。有効雨量は、給水期間中における日雨量(5〜80mm)の80%とする。ただし、移植中干し期間の有効雨量は控除する。ポンプ揚水された用水は役員が集中管理を行い、各ほ場へ配分するため、区域内での用水量の過不足は生じない。
3. 使用水量(給水量と有効雨量の和)はV直では冬季時期の代かきにより給水期間が延長されるものの、栽培期間を通じて移植と同程度である。給水期間中、V直は平均的に水使用しているのに対し、移植では代かき期と中干し後に集中する傾向にある(図2)。使用水量は、V直937〜1159mm、移植845〜1190mmとなり有意な差は見られない。給水量はV直545〜717mm、移植491〜900mm、有効雨量はV直220〜565mm、移植290〜354mmである(表1)。
4. 同一ほ場でV直と移植を転換しているが、日減水深はV直6.4〜9.7mm、移植7.1〜10.6mmとなっており、V直と移植で有意な差は見られない(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本調査地は、低平な海抜ゼロメートル地帯で、ほ場間の段差が少なく、用排水ともにポンプにより行われている。土性やほ場の高低差、給排水条件などが異なる地域では別途検討が必要である。


[具体的データ]

図1 調査区域の概要(位置図、土壌断面)
図2 年別平均積算使用水量(給水量+有効雨量)
表1 栽培別使用水量
表2 ほ場別日減水深

[その他]
研究課題名:土地改良統制調査(不耕起乾田直播栽培の普及に伴う農業用水需要動向の変化)
予算区分:県単
研究期間:2004〜2007年度
研究担当者:渡部勉、宮本晃、鈴木博之

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