黒毛和種種雄牛「千穂」の評価と選抜


[要約]
「安福165の9」息牛である「千穂」の現場後代検定を実施し、育種価を推定して遺伝的能力を評価した。「千穂」の枝肉重量は平均的であるが、脂肪交雑が良く、ロース芯面積も広いと考えられるため、種雄牛として選抜し広く供用する。

[キーワード]黒毛和種、種雄牛、千穂

[担当]茨城県畜セ・肉用牛研・改良研究室
[代表連絡先]電話:0295-52-3167
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(大家畜)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  茨城県を代表する銘柄牛肉である「常陸牛」の生産を推進していく上で、能力の高い種雄牛の果たす役割は大きい。県有種雄牛として「北国7の8」の息牛である「茨北安」などを供用しているが、より高い肉質を期待できる「安福165の9」の息牛へのニーズが高い。そこで、県有の「安福165の9」息牛として実績のあった「安福秀」の全きょうだい弟である「千穂」の現場後代検定を実施し、育種価による遺伝的な能力の評価を行った。

[成果の内容・特徴]
1. 「千穂」の血統は、父が「安福165の9」で母の父が「糸光」であり、現在の種雄牛の主流である「気高」系とは、血縁関係がほとんどない(図1)。
2. 「千穂」は「安福165の9」息牛であるが、メラニン細胞刺激ホルモン受容体も含めて、6つの遺伝病を保因していない。
3. 現場後代検定に供試した17頭の枝肉成績の平均は、枝肉重量418.8kg、ロース芯面積55.5平方cm、脂肪交雑がBMSで1.59(BMSナンバー6相当)であった。
4. 一般の肥育成績も含めて平成19年1月に育種価を推定したところ、「千穂」は枝肉重量では県選抜基準値をやや下回っているが、ロース芯面積及び脂肪交雑では基準値を上回っている。(表1
5. また、「千穂」の育種価は全6項目で全きょうだい兄である「安福秀」を上回っており、その能力を高く評価して、茨城県基幹種雄牛として選抜し、広く供用する。

[成果の活用面・留意点]
1. 凍結精液の供給は茨城県内を主体に行うが、家畜改良事業団との契約により、全国的に配布できる体制をつくる予定にある。
2. 肉用牛広域後代検定における平成19年度共同利用種雄牛の候補になっている。
3. 既に共進会における最高位入賞の実績もあり、交雑種生産への利用も勧められる。
4. 「千穂」は、増体の良い「気高」系などの繁殖雌牛への交配により、近交を回避するとともに、増体と肉質の良い子牛の生産が期待できる。


[具体的データ]

図1. 「千穂」の血統(三代祖)
表1. 「千穂」の育種価推定値(全体平均からの偏差、平成19年1月推定)

[その他]
研究課題名:後代検定事業
予算区分:県単
研究期間:昭和27年〜
研究担当者:笹沼清孝、藤森祐紀、大川清充、木村安之

目次へ戻る