食品残さ100%濃厚飼料で交雑種肉用牛の肥育が可能


[要約]
植物性の食品製造残さを原料とし、高温乾燥処理により食品残さ飼料を調製する。この飼料を用いて7ヶ月齢から26ヶ月齢まで交雑種肉用牛を肥育する場合、濃厚飼料として100%給与することが十分可能である。

[キーワード]植物性食品残さ飼料、高温乾燥処理、交雑種肉用牛

[担当]神奈川畜技セ・畜産工学部
[代表連絡先]電話:046-238-4056
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(大家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  日々大量に発生する食品残さの多くは廃棄物として処理されているが、これらを飼料化すれば資源リサイクルが図られ、また飼料自給率の向上につながる。
  そこで、食品残さ飼料を交雑種肉用牛に対して濃厚飼料として100%給与した場合の肥育の可能性を検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 給与飼料
  植物性の食品製造残さである乾燥おから、乾燥もやし、パンくず、野菜くずを原料とし、高温乾燥処理(80℃、5時間)により市販配合飼料の栄養成分に近い食品残さ飼料を調製する(表1及び図1)。これを交雑種肉用牛8頭に対して濃厚飼料として100%給与する。
  粗飼料については、肥育前期はスーダングラス乾草を原物重量割合で給与飼料の30〜40%、肥育中期は稲わらを同17%、肥育後期も稲わらを同13%給与する。
  給与は、粗飼料と食品残さ飼料をよく混合した後行う。
2. 肥育成績
  体重、日増体量等の発育状況については、交雑種肉用牛の標準発育とほぼ同様の推移である。
  血液成分及び第一胃内容液性状については特に異常は見られず、健康状態に問題は見られない。
  枝肉成績は、平均重量477kg、格付等級2〜3であり、市販配合飼料を給与した通常肥育の場合とほぼ同等である(表2)。  

[成果の活用面・留意点]
1. 飼料調製に関しては植物性の食品残さを用いる等、飼料安全法を遵守すること。
2. 粗蛋白質、粗脂肪、TDN等の栄養成分を適正な割合となるよう配合し、かつ嗜好性に問題のない飼料設計をする必要がある。


[具体的データ]

表1 食品残さ飼料の栄養成分及び配合割合
図1 食品残さ飼料調製方法
表2 枝肉成績

[その他]
研究課題名:肉用牛に対する食品残さの飼料化試験
予算区分:県単
研究期間:2005〜2008年度
研究担当者:水宅清二、秋山 清、折原健太郎、坂上信忠、鈴木 貢(中央カンセー株式会社)、
                  江口 淳(株式会社バクファージャパン)

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