黒毛和種肥育牛における生稲ワラサイレージ給与方法と血液中ビタミンA濃度


[要約]
生稲ワラサイレージは、βーカロテン含量が高くそのまま給与すると血液中ビタミンA濃度を上昇させるが、一昼夜晴天下放置するとβーカロテン含量が低下し血液中ビタミンA濃度を上昇させない。

[キーワード]肥育牛、稲ワラサイレージ、ビタミンA、βーカロテン

[担当]三重県科技セ・畜産研究部・大家畜研究課
[代表連絡先]電話:0598-42-2197
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  和牛肥育に不可欠な粗飼料である稲ワラの効率的な利用のため、天候に左右されにくい生稲ワラサイレージの利用方法を実証する。天候の影響を最小限にするため、稲ワラは稲刈直後に収集・ラップサイレージ化して、βーカロテン含量、給与による血液中ビタミンA濃度に与える影響を検証する。

[成果の内容・特徴]
  肥育後期の黒毛和種肥育牛4頭に生稲ワラサイレージ4.3kg(乾燥稲ワラ2kg換算)を2週間給与した後、通常の乾燥稲ワラ2kgを2週間給与した。さらに、生稲ワラサイレージを晴天下一昼夜放置(3月から7月に実施)させた天日乾燥稲ワラサイレージ2kgを3週間給与した。
 
1. 生稲ワラサイレージは、収穫後半年以上経過しても発酵品質に問題は生じない(表1)。
2. 生稲ワラサイレージは、収穫後半年以上経過しても含有βーカロテン含量が低下しにくいため(図1)、そのまま給与すると血液中ビタミンA濃度を上昇させるので(図3)、肥育牛の稲ワラ代替飼料とはならない。
3. 天日乾燥稲ワラサイレージは、βーカロテン含量が約50%低下する(図2)ため、肥育牛に給与しても血液中ビタミンA濃度を上昇させない(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 生稲ワラサイレージをそのまま給与すると、保存期間にかかわらず血液中ビタミンA濃度を上昇させるため、和牛肥育牛においては肉質を低下させる可能性があり、注意が必要。
2. 晴天下一昼夜天日乾燥させたものを給与すると、血液中ビタミンA濃度を上昇させないため、肥育牛の乾燥稲ワラ代替飼料として利用できる。
3. 生稲ワラサイレージの天日乾燥には、場所及び労力を必要とするため、日常の作業に組み込むためには、検討が必要である。


[具体的データ]

表1.生稲ワラサイレージの発酵品質
図1.生稲ワラサイレージ中のβーカロテン含量の推移 図2.天日乾燥による生稲ワラサイレージ中のβーカロテンと水分含量の変化
図3.生稲ワラサイレージ給与による血液中ビタミンA濃度の変化

[その他]
研究課題名:高級和牛肉の安定供給のための自給粗飼料確保技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:森昌昭、松井靖典、山田陽稔

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