稲発酵粗飼料を給与した肥育牛の血中ビタミンA濃度の推移


[要約]
稲発酵粗飼料を肥育中期を除く肥育前、後期に給与することで、ビタミンA制御型肥育が可能である。

[キーワード]稲発酵粗飼料、β-カロテン、ビタミンA、肥育

[担当]新潟畜産研・酪農肉牛科、環境・飼料科
[代表連絡先]電話:0256-46-3103
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(大家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  飼料自給率向上のため、水田での作付けが定着化している稲発酵粗飼料の肥育牛への利用の増加が期待されている。
  高品質牛肉生産を目的とした黒毛和種の肥育技術では、肉質向上のため肥育中期でのビタミンAの制限が一般的となっている。
  稲わらに比べてビタミンA前駆物質であるβ-カロテン含量が高い稲発酵粗飼料の黒毛和種肥育牛への給与方法について検討し、稲発酵粗飼料の高度利用を図る。

[成果の内容・特徴]
1. 稲発酵粗飼料を肥育中期を除く肥育前、後期の黒毛和種肥育牛に給与すると(表1)、稲発酵粗飼料に由来するβ-カロテン摂取量の増加に伴い、血中ビタミンA濃度は速やかに上昇するが、β-カロテン摂取量の減少に伴う血中ビタミンA濃度の低下は穏やかである(図1)。
2. 肥育中期(時期6月−11月)に稲発酵粗飼料の給与を中断すると、血中ビタミンA濃度は、1ヶ月あたりおよそ14IU/dlの割合で直線的に低下するが(図1)、血中ビタミンA濃度の対照区との差はほとんど縮小しないため、β-カロテン含量に見合った量の稲発酵粗飼料を給与する必要がある。
3. 稲発酵粗飼料を給与した肥育前、後期の血中ビタミンA濃度は、体重1kgあたりのβ-カロテン摂取量(mg/日)をxとすると、
血中ビタミンA濃度(IU/dl)=−1493.1x2+882.91x+31.143の関係が成り立つ(R2=0.8514)(図2)。
4. 発育、枝肉格付成績に稲発酵粗飼料給与の影響は見られなかった(表2)。以上のことから、稲発酵粗飼料を肥育中期を除く肥育前、後期に給与することで、ビタミンA制御型肥育が可能である。

[成果の活用面・留意点]
1. ビタミンA制御型肥育で稲発酵粗飼料の給与量を決定する際に活用できる。
2. 対照区前期を除き、ビタミンA剤を添加していない配合飼料を用いた成績である。
3. ビタミンAの消費量が多い暑熱期に肥育中期を迎えた成績である。


[具体的データ]

表1 試験区分(飼料乾物給与割合) 
図1 β−カロテン摂取量*と血中V.A濃度
図2 β-カロテン摂取量と血中ビタミンAの関係 表2 肥育成績

[その他]
研究課題名:良質粗飼料を用いた高品質牛肉生産技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2003〜2006年度
研究担当者:高橋英太、関誠、島津是之、伊藤徹三、宮腰雄一、荒木創

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