低蛋白TMRの分解性蛋白質含量の違いが乳生産に及ぼす影響


[要約]
泌乳最盛期の乳牛に給与する低蛋白TMRの分解性蛋白質含量を8%程度まで低くすると、乳生産に顕著な差はないものの、乾物摂取量が低下する。また、粗蛋白質含量を13%台まで低くしても、乳生産に差は見られないが、体重回復が遅れる可能性がある。

[キーワード]乳用牛、粗蛋白質、TMR、ルーメン、微生物

[担当]新潟畜産研・酪農肉牛科、長野畜試・酪農部、群馬畜試・大家畜研究グループ、千葉畜総研・乳牛研究室、東京農総研・生産技術科、山梨酪試・乳肉用牛科、栃木酪試・酪農技術部、愛知農総試・畜産研究部、畜産草地研
[代表連絡先]電話:0256-46-3103
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(大家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  泌乳最盛期牛に給与する混合飼料(TMR)中の粗蛋白質(CP)含量を14%程度にし、CPおよび炭水化物のルーメン内での分解性を変えて乳生産への影響を検討したところ、主要な非繊維性炭水化物(NFC)の給源をトウモロコシとし、分解性蛋白質(CPd)含量を低くした飼料で、乳生産が低下する傾向が見られた。
  そこで、今回は、主要なNFC給源をトウモロコシとする場合のCPdの違いが乳生産に及ぼす影響を検討するとともに、CP含量を更に低くした場合の影響を併せて検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 公立8試験場の2産以上の56頭の乳牛に試験飼料をTMRで給与する分娩後15週間の飼養試験を行い、飼養試験終了前後で連続3日間の出納試験を実施した。試験区は、NFCの主な給源をトウモロコシとし、設計としてCP含量を14.5%程度にし、CPd割合の低いLd区とCPd割合の高いMd区の他に、CP含量13.6%にするLP区の3区とする(表1)。
2. 乾物摂取量および乳脂率は、Ld区が他の2区に比べて低いが、乳量、乳脂率を除く乳成分率には有意な差はない。乳中尿素態窒素濃度はMd区が他の2区に比べ高い(表2)。また、LP区において分娩後の体重回復が遅れる傾向にある。
3. ルーメン液中のVFA濃度に有意な差はみられないものの、酢酸/プロピオン酸比はLd区がMd区に比べて高い。ルーメン液中のアンモニア態窒素濃度および血液中の尿素態窒素濃度は、Md区が他の2区より高い(表3)。
4. 出納試験の結果、ルーメン内の微生物体蛋白質合成量はLd区は他の2区に比べて低値であるが有意な差ではない。また、尿中に排泄される窒素の割合はMd区が他の2区に比べて高い(表4)。

[成果の活用面・留意点]
1. 泌乳最盛期において、生産性を維持しながら窒素排せつ量を低減する給与技術として利用できる。
2. 本技術を活用する場合は、給与飼料の成分把握が不可欠である。
3. 蛋白質要求量の高い初産牛については、別途検討が必要である。


[具体的データ]

表1 試験飼料の構成と成分組成 表2 飼料摂取量および乳生産
表3 ルーメン液および血液性状
表4 摂取窒素の分配率およびルーメン微生物体蛋白質合成量

[その他]
研究課題名:動物質飼料に依存しない高泌乳牛の飼養管理技術の確立
予算区分:高度化
研究期間:2004〜2006年度
研究担当者:関誠(新潟畜産研)、浅井貴之(長野畜試)、都丸友久(群馬畜試)、村上洋美(千葉畜総研)、田村哲生(東京農総研)、横山紅子(山梨酪試)、高山未来(栃木酪試)、佐藤清(愛知農総試)、梶川博、田鎖直澄、寺田文典(畜産草地研)

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