生稲わらサイレージの貯蔵性向上と肥育後期黒毛和種去勢牛への給与効果


[要約]
生稲わらロールベールサイレージは、無処理でも貯蔵4ヶ月の発酵品質が良好であり、乳酸菌製剤添加によりさらに長期間安定貯蔵できる。また、このサイレージの肥育後期黒毛和種去勢牛による採食性は高く、肥育成績は乾燥稲わら給与と同等である。

[キーワード]生稲わらサイレージ、発酵品質、黒毛和種去勢牛、肥育成績

[担当]富山畜試・飼料環境課、酪農肉牛課
[代表連絡先]電話:076-469-5921
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(大家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  稲わらは肉用牛向けの粗飼料として不可欠であるが、乾燥・収集作業が天候に大きく影響されるため、その飼料利用は国内生産量の約1割にとどまっている。その一方で、輸入稲わらや稲わらの代替として輸入乾草に依存する農家も多く、飼料安全対策や自給率向上の観点から国産稲わらへの転換は喫緊の課題である。そこで、天候の影響を受けにくく、安定的な供給が期待される生稲わらロールベールサイレージについて、貯蔵性やサイレージ添加資材の効果を検討するとともに、肥育後期の黒毛和種去勢牛に給与した場合の肥育成績について明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 実験室規模で乳酸菌製剤を添加して調製した生稲わらサイレージは、無処理や他の資材を添加したものに比べ、pHが低く、乳酸含量が高い(図1)。
2. 無処理で調製した生稲わらロールベールサイレージの発酵品質は、貯蔵4ヶ月までは良好であるが、8ヶ月以上の貯蔵では酪酸の生成や蛋白質分解程度を示す全窒素中の揮発性塩基態窒素割合(VBN/T-N)の増加により不良となる場合もある。乳酸菌製剤を添加した場合には、13ヶ月貯蔵しても材料水分にかかわらず安定して良好となる(表1)。
3. 肥育後期(20〜26ヶ月齢)の粗飼料として生稲わらサイレージを給与した黒毛和種去勢牛の1日あたりの乾物摂取量は、慣行の乾燥稲わらを給与した場合に比べ多い。また、給与期間中の日増体量も多い傾向にある(表2)。
4. 肥育後期に生稲わらサイレージを給与しても、枝肉重量や脂肪交雑(BMSNo.)等は慣行給与と差がない。また、脂肪の色(BFSNo.)は全頭3であり、生稲わらサイレージの給与による脂肪の黄色化は認められない(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 生稲わらサイレージを通年利用する場合の調製方法として活用できる。また、生稲わらサイレージは肉用肥育牛の肥育後期における粗飼料として活用できる。
2. 生稲わらロールベールサイレージは、稲の刈取り時にコンバインから排出された切断稲わらを当日中に梱包・密封して調製しており、予乾のための拡散や集草は行っていない。
3. 生稲わらサイレージをビタミンA制御型肥育で利用する場合、肥育中期においてはβ-カロテン含量の確認が必要である(表1のサイレージ中含量:乾物中13.9〜42.7mg/kg)。


[具体的データ]

図1 各種資材を添加した生稲わらサイレージの有機酸含量
表1 生稲わらロールベールサイレージの発酵品質
表2 肥育後期に生稲わらサイレージを給与した黒毛和種去勢牛の乾物摂取量、体重および日増体量
表3 肥育後期に生稲わらサイレージを給与した黒毛和種去勢牛の枝肉成績

[その他]
研究課題名:生稲わらサイレージおよび食用米副産物等を活用した黒毛和種去勢牛向け発酵TMR調製・給与技術の開発
予算区分:委託プロ(えさプロ)
研究期間:2006〜2007年度
研究担当者:金谷千津子、高平寧子、中島麻希子、吉野英治、丸山富美子、紺博昭

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