ウシ体細胞クローン胚のメチル化と移植成績の関係


[要約]
制限酵素とRAPD(Random Amplified Polymorphic DNA)法を用いるメチル化解析法により個々の胚のメチル化と移植成績を調べてみると、出産まで至った生存性の高い胚のメチル化は変動係数が低く一定のメチル化の値を示す。

[キーワード]体細胞クローン、メチル化、RAPD

[担当]石川畜総セ・技術開発部
[代表連絡先]電話:0767-28-2284
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(大家畜)
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
  体細胞クローン牛の生産効率は数%と低く、その原因の一つとして発生段階におけるメチル化の異常が指摘されている。そこで、制限酵素とRAPD(Random Amplified Polymorphic DNA)法を用いたメチル化解析法を開発し、個々のクローン胚のメチル化判定しクローン胚の移植成績との関連について調べる。

[成果の内容・特徴]
1. ウシ由来のDNAを材料とし制限酵素HpaⅡとMsp1を用いRAPDを行うと、10pgで様々なバンドを検出する。
2. 脱メチル化剤の5-アザシチジン処理したウシ卵丘細胞由来のDNAを材料とし、制限酵素HpaⅡとMsp1を用いRAPDを行なうと、HpaⅡで5-アザシチジン濃度に比例し徐々に濃くなる約340bpのバンドを検出する(図1)。
3. 制限酵素HpaⅡとMsp1を用いRAPDを行い340bpのバンド濃度を測定し、比率を算出することにより(H/M)、メチル化の指標とする。(図2
4. 発生培養後5から7日目の個々のクローン胚について、切断法(約20%)もしくは吸引法(1から6個)により細胞を採取し、メチル化解析の材料とする。分娩に至ったクローン胚DNAのH/Mの変動係数は低く、H/M検出率は移植しなかった胚よりも、移植したり受胎するなど生存性が高い程、有意に高い検出率を示す。生存している3頭のH/Mの値から、H/Mが1.05に近いクローン胚の生存性が高い可能性がある。(表1

[成果の活用面・留意点]
     本法の有効性を検証するために、生存性の可能性の高いH/Mが1.05に近い値を示すクローン胚について、移植成績を調査する必要がある。


[具体的データ]

図1 脱メチル化剤(5-AZ)処理した細胞由来DNAのRAPD法による泳動像 図2 メチル化指標バンド(340bp)の濃度検出
表1 クローン胚の移植成績とDNAメチル化成績

[その他]
研究課題名:ウシ受精卵の保存・移植法開発(クローン胚の品質評価法)
予算区分:県単独事業
研究期間:2000〜2008年度
研究担当者:田中孝一、山口和男(金沢大学)、大橋愛美(石川県北部家保)、
                  後藤裕司(家畜改良センター)、平山宗幸(家畜改良センター)、
                  林みち子、村上俊明、常川久三(石川県農業政策課)、源野朗、北満夫

目次へ戻る