大粒温州ミカンジュース粕給与によるβ-クリプトキサンチンを多く含む鶏卵の生産


[要約]
産卵鶏に大粒の温州ミカンジュース粕を2%飼料添加することにより、産卵性と卵質を維持しながら、卵黄中にβ−クリプトキサンチンを2倍(約200μg/卵黄100g)含む鶏卵を生産でき、加熱による卵黄中β-クリプトキサンチンの損失もほとんどみられない。

[キーワード]産卵鶏、鶏卵、温州ミカンジュース粕、粒度、β-クリプトキサンチン、加熱

[担当]三重科技セ・畜産研究部・中小家畜研究課
[代表連絡先]電話:0598-42-2207
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  β−クリプトキサンチンはβ−カロチンよりはるかに発ガン抑制活性が高く、主に柑橘類に多く含まれる。柑橘類の中でも温州みかんは、β−クリプトキサンチン含量が最も多く、ジュース粕等の廃棄部分に含まれる割合が他の柑橘類に比べ著しく多いことに着目し、温州ミカンジュース粕給与によるβ-クリプトキサンチンを多く含む鶏卵の生産技術を開発した。しかし、この技術普及には、温州ミカンジュース粕の乾燥粉砕などの調整コストと安定的な量の確保が課題となる。みかんジュース工場では、肥飼料用に安価かつ大量に温州ミカンジュース粕製品が製造流通されているが、その粒度が荒いため、嗜好性、鶏卵へのβ-クリプトキサンチン賦与及び産卵性等へ及ぼす影響を調査する。

[成果の内容・特徴]
1. 温州ミカンジュース粕は、みかんジュース工場で通風乾燥後8mmメッシュで粉砕された製品(価格:300円/12kg袋、輸送料別(H19年度三重県調べ))の現物(大粒区)とさらに1mmメッシュで粉末化したもの(粉末区)を各々飼料中に2%添加し、供試した。
2. 大粒区と粉末区の卵黄中β-クリプトキサンチン含量に差はみられない(図1)。
3. 卵黄中β−クリプトキサンチン含量は、温州ミカンジュース粕給与中止7日後に対照区(無添加区)と同量になる(図1)。
4. 加熱(沸騰温浴10分間)による卵黄中β−クリプトキサンチン含量のロスは、約9%で、有意な低下は起こらない(図2)。
5. 産卵成績は、粉末区と比較して大粒区の産卵量と卵重がわずかに低下する傾向がみられるが、大きな影響はみられない(表1)。
6. 卵質成績は、温州ミカンジュース粕の粒度による差はみられず、温州ミカンジュース粕添加による影響も認められない(表2)。
7. 以上のことから、大粒温州ミカンジュース粕を飼料の一部と代替して給与することにより、生産性等を維持しながら、β−クリプトキサンチンを多く含む鶏卵を効率的に生産することが可能と考えられる。

[成果の活用面・留意点]
1. 温州ミカンジュース粕給与中止後7日目で卵黄中β−クリプトキサンチン含量が無添加区と同量となったことからも、β-クリプトキサンチンを多く含む鶏卵の生産には、継続的な温州ミカンジュース粕の飼料添加が必要である。
2. 約7ヶ月間での長期給与農家実証試験においてもβ-クリプトキサンチンを多く含む鶏卵を生産できることが確認されている。


[具体的データ]

図1 卵黄中β-クリプトキサンチン含量の推移
図2 加熱による卵黄中β-クリプトキサンチン含量への影響
表1 産卵成績
表2 卵質

[その他]
研究課題名:熊野古道特産品共同研究開発事業
予算区分:県単
研究期間:2005〜2007年度
研究担当者:佐々木健二、巽 俊彰、西 康裕

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