乾燥処理コンビニエンスストア残さの豚肥育用飼料への代替給与


[要約]
コンビニエンスストアから排出される消費期限切れの食品のうち、低タンパク質・低脂肪の素材を乾燥処理後、豚の肥育期(体重30kg〜110kg)の飼料に30%代替、50%代替給与すると、発育は良好で、肉質、脂質および嗜好性に問題のない豚肉が生産される。

[キーワード]コンビニエンスストア、食品残さ、肥育豚、発育成績、肉質成績

[担当]千葉畜総研・生産技術部・養豚養鶏研究室
[代表連絡先]電話:043-445-4511
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  穀物のエネルギー利用などによる、家畜用飼料価格の高騰が畜産農家の経営に大きな影響を及ぼしている。本試験では、コンビニエンスストアから排出される消費期限切れの食品の飼料化を促進し、食品残さの有効利用と飼料費の低減を図るため、肥育豚に代替給与を行い、生産される豚肉の肉質評価を実施する。

[成果の内容・特徴]
  給与した食品残さは、ご飯類、低脂麺類、菓子パンを加熱乾燥処理したものである。体重30kgから110kgまでの全期間、配合飼料のみを給与した対照区、30%代替区(以下30%区)、50%代替区(以下50%区)および体重30kg〜70kgまで30%代替、70kg〜110kgに50%代替給与を行った区(以下30-50%区)を設定し、各区去勢3頭雌2頭を供試して給与試験を実施する。
1. 乾燥処理した残さは、製造ロット毎に飼料成分値の大きな変動はない(表1)。
2. 30%区、50%区および30-50%区の発育は良好で、対照区と同等かより良い成績である。肥育日数は、50%区が77日でもっとも短く、対照区よりも約10日短縮される(表2)。
3. と体成績は枝肉重量、と体長などに区による差は見られないが、背脂肪厚は、対照区に比べ各代替区ともやや厚い傾向を示す。
4. 肉質成績はせん断力価で、30-50%区がもっとも低く、30%区および50%区においても、対照区より低い値(p<0.05)を示す(表3)。筋肉内脂肪含量(5〜7胸椎)は、50%区で9.46%と高い値で、各代替区ともに対照区より高い値を示す(p<0.01)。ロースの多価不飽和脂肪酸は代替区が対照区より低い値であり(p<0.01)、脂肪融点は、30%区および50%区において対照区より低い値を示す(p<0.05)が、軟脂とは評価されない。ロースのオレイン酸含量は、50%区は52.6%、30-50%区は50.9%、30%区は50.5%で、対照区と比較し高い値である(p<0.01)。
5. 生産物の食味は、対照区と50%区のロース肉を用い二点比較法で、対照区と変わらない評価を0とし、−2から+2の5段階で評価を実施。赤肉、脂肪ともにかたよった評価はなく、嗜好性に差はみられない (図1)。

[成果の活用面・留意点]
1. コンビニエンスストア残さを有効利用し、飼料費の低減が期待できる。
2. 残さを給与し生産した豚肉は、筋肉内脂肪含量が高く、脂質にオレイン酸を多く含むことから、低コストで高品質なおいしい豚肉の生産が期待できる。
3. コンビニエンスストア残さを生産現場で活用するため、養豚農家での実証試験が必要である。
4. 今回の試験は単純に50%代替で給与を行ったが、成長に不可欠な微量栄養素の不足が心配されるため、ビタミン類やミネラルなどの適正な配合を行うことが望ましい。


[具体的データ]

表1.残さの製造ロットごとの成分比較 図1.赤肉および脂肪の食味(二点比較法)
表2.発育成績
表3.肉質・脂質成績

[その他]
研究課題名:養豚における未利用資源の有効利用に関する研究
予算区分:県単
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:松本友紀子、高橋圭二、鈴木邦夫、岡崎好子

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