低リジン飼料で生産した筋肉内脂肪の多い豚ロースのドリップロスは少ない


[要約]
肉豚飼料のリジン含量を要求率の70%に制限して、体重70kgの豚に出荷まで給与すると、ロースの筋肉内脂肪含量が高く、ドリップロスの少ない、脂肪酸組成はオレイン酸が多くリノール酸が少ない豚肉が生産できる。

[キーワード]リジン、ロースの筋肉内脂肪含量、ドリップロス、オレイン酸、リノール酸

[担当]三重科技セ・畜産研究部・中小家畜研究課
[代表連絡先]電話:0598-42-2029
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  この研究は近年報告されている飼料中のリジン含量を制御することによりロースの筋肉内脂肪含量を増やす技術を用いて、消費者ニーズの高い霜降り豚肉生産技術の開発と、意欲のある県内生産農家へ技術の活用と取り組み促進をおこなうことを目的とし、既存銘柄豚等の高付加価値化と豚肉生産基盤の強化を目指す。

[成果の内容・特徴]
1. とうもろこしと大豆粕を用いて、リジン含量を日本飼料標準・豚(2005年版)記載、体重70kg豚の要求率の70%程度となる低リジン飼料を配合する(表1)。
2. 低リジン飼料を給与して生産されたロースの筋肉内脂肪含量は高くなり、ロースの肉質調査日からの冷蔵保存による水分浸出(ドリップロス)は少なくなる(図1)。ロースの筋肉内脂肪含量とドリップロスの相関係数(r)は1日後-0.65、2日後-0.72、3日後-0.78、5日後-0.76である。
3. 低リジン飼料を給与して生産されたロース筋肉内脂肪の脂肪酸の割合は、オレイン酸が増加し、リノール酸が減少する(表2)。
4. 低リジン飼料を給与すると増体は低く飼料要求率は高い。枝肉歩留、背脂肪厚に差は無いが、ロース芯面積は小さくなる。ロースの筋肉内脂肪含量は、去勢雄豚で差はないが、雌豚は2%程度増加し、去勢雄・雌豚併せた全体で1.9%程度増加する。牛脂肪交雑基準(B.M.S.)の「0」を1、「0+」を2、「1-」を3として、ロース芯の脂肪交雑を比較したが差は無く、ロース筋肉内脂肪含量1.9%程度の差をB.M.S.の区分で表すことは出来ない(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 去勢雄豚に比べると雌豚のロース脂肪含量は低いので、実用段階では雌豚肥育での利用が有効である。
2. 当センターで生産されたLWD交雑種を用いたデータである。


[具体的データ]

表1 低リジン飼料配合 図1 ロースのドリップロス(単位:%)
表2 ロース筋肉内脂肪の脂肪酸組成(単位:%) 表3 飼養成績、枝肉成績

[その他]
研究課題名:霜降り豚肉生産技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:市川隆久、西 康裕

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