コケパネルを豚舎屋根に設置すると暑熱対策として有効である。


[要約]
コケパネルを豚舎屋根に設置すると、屋根表面、天井裏温度、豚舎内温度が低下する。供試豚の体表温度も低くなり、暑熱対策として有効である。

[キーワード]コケパネル、豚舎屋根、体表温度、暑熱対策

[担当]神奈川畜技セ・畜産工学部
[代表連絡先]電話:046-238-4056
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
  地球温暖化の影響で夏季の気温は上昇傾向にあり、暑熱が豚の繁殖性や発育性に多大な影響を及ぼしている。現在、暑熱対策として行われている豚舎内へのミスト散布や扇風機の設置は、ランニングコストがかかるうえに、エネルギー利用の観点から環境に負荷がかかる。そこで、電気エネルギーの利用や施肥、灌水などメンテナンスの必要ない「コケ」を定着させたコケパネルを豚舎屋根に設置し、豚舎内環境の変化及び肉豚の発育への影響等について調査する。

[成果の内容・特徴]
  高さ180cmの豚舎を使用し、試験区の屋根をコケパネル、対照区の屋根を既存のスレート屋根(写真1)とし、試験豚舎内は断熱材で隔て、豚舎の窓は開放した状態で、各試験豚房には品種、性別が同じになるように約80kgの供試豚を4頭ずつ収容し、下記の項目について調査する。
  今回試験に使用したコケパネルは軽量なロックウールにスナゴケを定着させ、屋上などに固定しやすいようにパネル状にしたもので、使用されているスナゴケは、灌水、施肥や剪定の必要がなく、屋根緑化に適した特長を持っている。
1. 豚舎内の温度
最高気温の高かった平成17年8月26日の屋根表面温度は、試験区が対照区に比べ最大で12.2℃低く、天井裏では9.7℃低い(図1)。
豚房中央の高さ110cmの位置で測定した温度は、試験区が対照区に比べ最大1.2℃低い(図2)。
2. 体表温度
最高気温の高かった3日間の試験豚体表温度を赤外線熱画像測定装置で測定すると、試験区が対照区に比べ低い(P<0.05)(表1)。
3. 発育性、呼吸数及び血液生化学的性状
発育性、呼吸数及び血液生化学的性状に差は認められない。

[成果の活用面・留意点]
1. 試験に使用したコケパネルは市販されているが、畜産農家が利用するには価格が高く、現在、開発メーカーは簡易的な工法による価格の低下を検討している。
2. 畜舎内の温度低下だけでなく、畜舎を緑化することは、景観改善する効果も期待ができる。
3. コケパネル及びスナゴケの耐久性について検証する必要がある。


[具体的データ]

写真1 豚舎屋根に設置したコケパネル 図1 屋根表面と天井裏温度の比較
図2 豚房内温度の比較
表1 体表温度の比較

[その他]
研究課題名:植物パネルを用いた豚舎屋根緑化による飼養環境改善効果(17年度)、環境と豚に優しい飼養管理技術の開発(18年度)
予算区分:県単
研究期間:2005〜2006年度
研究担当者:小嶋信雄、山本 禎、前田高弘、田邊眞、堀与志美、鎌田壽彦(東京農工大)、西塔幸由(モスブロー環境技術工業会)、梅本栄一((社)神奈川県養豚協会)、山崎典昭(全農畜産サービス)

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