豚の背腰長に関するDNAマーカー選抜の有効性を実証


[要約]
金華豚×デュロック種の交雑F2個体における背腰長に関連するQTLを対象とした両方向のマーカーアシスト選抜により、F3産子の背腰長に有意な差が見られる(p<0.01)。このことから、上記交雑家系における背腰長の改良にはマーカーアシスト選抜が有効である。

[キーワード]金華豚、デュロック種、マーカアシスト選抜、QTL、背腰長2

[担当]神奈川畜技セ・畜産工学部
[代表連絡先]電話:046-238-4056
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
  金華豚とデュロック種との大規模家系(静岡、千葉、神奈川3県合同家系)を用いて、第1染色体及び第7染色体上に有意に検出された背腰長2(ロース肉の長さ)に関与するQTL(量的形質に関与する遺伝子座)を対象として、マーカーアシスト選抜(MAS)法を実証し、DNAマーカーを用いた産肉性に関する選抜の有効性を検証することを目的とする(図1)。

[成果の内容・特徴]
1. 金華豚(J)とデュロック種(D)の交雑F1個体同士の交配により生産されたF2世代の表現形質とマイクロサテライトマーカーの多型からQTL解析を行ない、背腰長2に関与するQTLと強く連鎖するマイクロサテライトマーカーを第1染色体上に3個、第7染色体上に3個検出した。これら6個のマーカーを用いて、F2個体134頭の中からマーカー遺伝子型が金華型(J型)ホモの個体8頭とデュロック型(D型)ホモの個体8頭をそれぞれ選抜育成し、これら同型遺伝子型の選抜個体同士の交配によりF3個体を生産し、J型99頭、D型70頭の合計169頭のF3個体についてDNAマーカー選抜の調査を実施した。
2. 背腰長2の平均値はJ型で57.69cm、D型で61.20cmとD型がJ型よりも有意に長く(p<0.01、図2)、F2集団で検出されたQTL効果の方向と一致し、推定された効果の大きさともほぼ等しい。
また、背腰長2に関連する乳頭数、と体長、背腰長1、ロース・バラ重量、ロース・バラ重量割合などについてもD型がJ型よりも有意に高い(p<0.01、表1)。
3. 背腰長2とは関連性が低いと思われる肋張りの深さでもJ型が有意に深く(p<0.01、表1)、アジア系豚に特有の肋骨の湾曲が大きくなる特徴があり、選抜の影響が認められる。
肉質関連形質では脂肪色(L*、a*、b*)はJ型が有意に白く(p<0.01)、粗脂肪分(ロース肉の筋肉内脂肪含量)はJ型が有意に高く(p<0.01)、ロース肉の水分含量と加熱損失率はJ型が有意に低い(p<0.01)(表1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 金華豚とデュロック種を用いた合成系統の造成には、本成果が有効に利用できる。
2. 他の品種を用いる場合には、再度QTL効果の検証が必要である。


[具体的データ]

図1 MAS実証試験の模式図 図2 各遺伝子型グループF3個体で得れた背腰長2(平均値±SE)
表1 各遺伝子型グループF3個体の産肉性、肉質に関する形質の平均値

[その他]
研究課題名:DNAマーカーを利用した銘柄豚作出技術の開発
予算区分:受託
研究期間:1999〜2006年度
研究担当者:仲澤慶紀、小嶋信雄、山本禎、林武司(生物研)、美川智(生物研)、粟田崇(生物研)、金谷奈保恵(STAFF研)、山口倫子(千葉畜総研)、堀内篤(静中小畜試)

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