温度シールを入れたペットボトル温度計で堆肥化過程の最高温度を確認できる


[要約]
温度接触により色が変わるシール(サーモラベル)をペットボトルに入れた簡易温度計を作成。簡易温度計で堆肥化過程において病原菌や雑草の種子が死滅する60℃以上の高温感作を確認することができる。

[キーワード]サーモラベル、発酵温度、簡易温度計

[担当]神奈川畜技セ・企画経営部
[代表連絡先]電話:046-238-4056
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(環境)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  耕種農家等が安心して利用できる安全な「家畜ふん堆肥」の指標として、腐熟度評価や発芽試験、根の伸長試験などがあるが、これだけでは病原菌や雑草の種子の死滅を評価できない。そこで温度接触により色が変わるシールをペットボトルに入れた簡易温度計を作成し、簡易温度計で病原菌や雑草の種子が死滅する60℃以上の高温感作を確認出来るようにすることで、耕種農家のニーズに即した堆肥作り及び植物の発育に影響のない安全な堆肥の目安を示すことを目的とする。

[成果の内容・特徴]
1. 簡易温度計は、内部が乾燥した500ml容のペットボトル内に温度接触により色が変わるシールを入れた後キャップを閉め、容器内に水が入らないようにビニールテープで密封し作成する(図1)。
2. 簡易温度計は、バケットでの切り返しの際、破損することなく堆肥表面に現れるので回収が容易である(画像1)。
3. 病原菌や雑草種子が死滅する60℃以上の高温感作を色で判断することができ、発酵過程の最高温度も確認することができる(図2)。
4. 牛ふんの堆肥化過程において、簡易温度計で60℃以上を示した堆肥は、大腸菌が検出されない(表1
5. 牛ふんの堆肥化過程において、BOD15mg/DMg以下となった腐熟の進んだ堆肥の安全性評価を行ったところ、発酵過程の最高温度が高いほど、根の伸長率が高まる傾向が見られる(表1)。

[成果の活用面・留意点]
1. ペットボトルと温度接触により色が変わるシール(サーモラベル)により安価に簡易温度計が作成可能。
2. 簡易温度計で病原菌や雑草種子が死滅する60℃以上の高温感作を色で判断することができ、発酵過程の最高温度も確認することができるため、堆肥生産者がこれを活用することで、耕種農家等が堆肥の安全性を確認できる。
3. 堆肥の温度管理は、堆肥化過程を把握する上では重要な要素である。そのため、農家だけでなく農業改良普及員等の指導者が耕種農家のニーズに即した堆肥作りを普及・指導に利用できる実用的な技術である。


[具体的データ]

図1 ペットボトル内にサーモラベルを入れた簡易温度計 図2 サーモラベルの温度表示
表1 堆肥化処理における各ステージごとの堆肥性状
画像1 堆肥内の簡易温度計

[その他]
研究課題名:高品質堆肥生産技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2005〜2008年度
研究担当者:川村英輔、田邊 眞、加藤博美

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