養豚尿汚水処理施設から発生する脱水ケーキの堆肥化方法


[要約]
養豚の脱水ケーキは、エネルギー源として豚ぷんを重量比で150%添加し水分調整することで、堆肥化温度は60℃を超え、植物の生育障害も見られず、肥料としての利用が可能となる。

[キーワード]脱水ケーキ、堆肥化、養豚、余剰汚泥、汚水処理

[担当]栃木畜試・畜産技術部・畜産環境研究室
[代表連絡先]電話:028-677-0015
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(畜産環境)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  養豚尿汚水を活性汚泥法で浄化処理することで、浄化処理水が得られるが、それに伴って余剰汚泥が発生する。汚泥は増えすぎると、浄化処理に悪影響を与えるため、適度に余剰汚泥を抜き取る必要がある。
  余剰汚泥は、脱水機と凝集剤を用いて脱水ケーキにするのが一般的である。下水処理場や合併浄化槽から発生する脱水ケーキは、近年、堆肥化して土壌改良資材として利用されるなど、循環利用が進んでいる。このことから、養豚尿汚水処理施設から発生する脱水ケーキについても、資源として有効利用するための、堆肥化技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
1. 養豚の脱水ケーキの成分を調査したところ、加里は0.6乾物%と少ないが、全窒素は6.19乾物%、リン酸は6.25乾物%と肥料価値が高い。有害重金属の濃度は、肥料取締法で定める規制値を上回らないことから、脱水ケーキは肥料として有効利用できる(表1)。
2. 下水汚泥の堆肥化方法を参考に、養豚の脱水ケーキ(水分86.2%)にオガクズ(水分43.4%)を加え、水分を60%(60%区)及び70%(70%区)に調整し、小型堆肥化装置で毎週切り返しを行い3週間堆肥化したところ、両区とも雑草の種子や有害微生物が殺滅される目標の60℃に到達しない。
3. 堆肥化のエネルギー源として、豚ぷん(水分72%)を脱水ケーキに重量比で50%(50%区)、100%(100%区)及び150%(150%区)添加し、オガクズを加え水分を70%に調整後、小型堆肥化装置で毎週切り返しを行い2週間堆肥化したところ、150%区だけが60℃を上回る(図1)。
4. 上記「2」及び「3」の結果を踏まえ、脱水ケーキ約500kgに豚ぷん約750kgを混合し、オガクズ約360kgを添加して水分を70%に調整後、10日ごとに切り返しを行い堆肥化したところ、堆肥化中の温度は60℃を超える傾向が見られた。大腸菌群数は、堆肥化開始直後に上昇傾向が見られたものの、その後減少し60日目以降は検出されなくなる(図2)。また、コマツナの幼植物試験は、堆肥化開始時は生育に悪影響がみられるが、堆肥化2ヶ月目(60日目)には悪影響は見られず、対照区の化成肥料とそん色のない結果である(写真1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 養豚農家から排出される脱水ケーキは、本書の通り堆肥化することで、有効な資源として利用することができる。
2. 脱水ケーキの入った堆肥は、肥料取締法上「普通肥料」となることから、流通の際は留意が必要である。
3. 施用に際しては、土壌中に過剰に銅と亜鉛が入らないよう施肥設計に留意する。


[具体的データ]

表1 脱水ケーキに含まれる成分値
図1 豚ぷんの添加が堆肥化中の温度変化に及ぼす影響 図2 堆肥化中の大腸菌群数の変化
写真1 コマツナの生育状況

[その他]
研究課題名:尿汚水処理施設の適正活用技術に関する研究
予算区分:県単
研究期間:2004〜2006年度
研究担当者:s正人、脇阪浩
発表論文等:s、脇阪(2008) 栃木県畜産試験場研究報告 23:39-46

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