浮遊物質の除去により養豚浄化槽汚水の亜鉛及び銅含量を低減できる


[要約]
55件の養豚浄化槽から採水した原汚水中の亜鉛及び銅については、その9割が懸濁態であり、懸濁態の亜鉛及び銅は浮遊物質(SS)と高い相関を示すため、SSを除去することで亜鉛及び銅の総量を低減化できる。

[キーワード]養豚浄化槽、水質汚濁防止法、亜鉛、銅、浮遊物質(SS)

[担当]愛知農総試・畜産研究部・畜産環境グループ
[代表連絡先]電話:0561-62-0085
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地
[分類]技術及び行政・参考

[背景・ねらい]
  水質汚濁防止法における亜鉛の排水基準値が従来の5mg/Lから2mg/Lに強化されたことを受けて、畜産現場での重金属類の排水実態を早急に調査する必要性が生じている。そこで、亜鉛及び銅について、愛知県内の養豚浄化槽を広域的に調査し、原汚水及び放流水中の含量分析及び浄化槽の排水規模やふん尿処理形態等のアンケート調査により、その排水実態を明確化する。

[成果の内容・特徴]
1. 調査対象は愛知県内の55件の養豚浄化槽である。排水規模では20m3以上50m3未満、飼料種類では配合飼料のみの給餌、ふん尿処理形態では分離処理を行っている農家が最も多い(図1)。
2. 放流水中の亜鉛及び銅含量は、全ての浄化槽において排水基準値を下回っているが、亜鉛濃度が最大で1.95mg/Lあり、極めて排水基準値に近い(表1)。
3. 原汚水中の亜鉛及び銅の9割程度が懸濁態であり、放流水では逆に溶存態の亜鉛及び銅の占める割合が多い(図2)。
4. 原汚水中の懸濁態亜鉛及び銅はSSと高い相関関係にある(図3)。このことは畜産草地研究所による試験報告と一致している。従って、浄化槽の適切な管理により、原汚水中のSSを除去することで、放流水に移行する亜鉛及び銅の総量を低減化できる。
5. 原汚水及び放流水中の亜鉛及び銅含量について、地域、排水規模、飼料種類、ふん尿処理形態の違いによる差は確認できない。

[成果の活用面・留意点]
1. 今後の排水対策の基礎データとして活用するとともに、汚水中の亜鉛及び銅の低減化に係る農家指導に利用できる。
2. 浄化槽から除去した後のSSを堆肥化する場合は、亜鉛及び銅の含量に留意するとともに、堆肥の過剰施用を避ける必要がある。
3. 原汚水中のSSの効率的な除去法を確立し、また放流水への汚泥の流出を防ぐ等の対策を講じる必要がある。


[具体的データ]

図1 調査対象浄化槽の状況
表1 原汚水及び放流水に含まれるSS、亜鉛及び銅の含量
図2 原汚水及び放流水中における亜鉛及び銅の存在形態 図3 原汚水中の懸濁態亜鉛・懸濁態銅及びSSの関係

[その他]
研究課題名:畜産排水の低コスト浄化処理技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2007年度
研究担当者:鈴木良地、増田達明、中谷洋、原田英雄

目次へ戻る