ジベレリンの花穂伸長効果による「巨峰」「ピオーネ」の摘粒作業の省力化


[要約]
「巨峰」「ピオーネ」の無核栽培において、展葉5枚時の花穂にジベレリンを低濃度で散布すると花穂が伸長する。花穂伸長により、果粒の密度が低下し、摘粒作業時間が削減できる。

[キーワード]巨峰、ピオーネ、摘粒、省力、ジベレリン、花穂伸長

[担当]山梨果樹試・栽培部・ブドウ栽培科
[代表連絡先]電話:0553-22-1921
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  ブドウ栽培において摘粒は、高品質な果実を生産する上で必須な作業であるが、多大な労力を要する上に、作業時期は短期間に集中する。そのため、生産者にとって大きな負担となり、経営規模の拡大を阻害する一因となっている。そこで、開花前にジベレリンを散布し、花穂を伸長させ、着粒密度を低下させることで、摘粒作業時間を削減する方法について検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 「巨峰」「ピオーネ」の無核栽培において、展葉5枚時の花穂にジベレリン5ppmを散布すると、花穂伸長が促進され、花穂整形時には無散布(慣行)区の1.2〜1.4倍の長さになる(図1、データ略)。
2. 摘粒前の果房は、無散布区と比較して着粒密度が低下し(表1)、ほとんど摘粒が必要ない果房も観察される。
3. 着粒密度の減少により、摘粒作業時間は「巨峰」で3〜5割、「ピオーネ」で2〜4割程度削減される(表2)。
4. 果粒の初期肥大は良好で、摘粒時期が遅れると果粒が密着し、摘粒作業時間が長くなる。そのため、摘粒時間の削減効果は少なくなる(表3)。
5. 本処理後、慣行の房づくりで栽培すると、果房がやや小さくなるが十分な商品性は確保できる(表4)。

[成果の活用面・留意点]
1. 動力噴霧機などを用い新梢全体にジベレリンを散布すると、翌年に結果母枝の不発芽などの障害が発生する。散布はハンドスプレーなどを用い、新梢に飛散しないよう、必ず花穂中心に行う。
2. ハンドスプレーによる散布に要する時間(使用液量)は、短梢せん定樹で約6時間(12L)/10a、長梢せん定樹で約12時間(18L)/10aである。
3. ハウス栽培での花穂伸長効果は明らかではないため、使用は露地の種なし栽培を前提とする。
4. 大房生産を目標に、房づくりを大きくすると摘粒作業の省力効果は減少する。
5. 花穂伸長を目的としたジベレリンの使用は、「巨峰系4倍体品種」で適用が拡大された。


[具体的データ]

図1.ジベレリンによる花穂伸長の様子(ピオーネ、花穂整形時) 表1.花穂へのジベレリン散布が摘粒時の果房に及ぼす影響 (2006)
表2.花穂へのジベレリン散布の有無と摘粒作業時間 (2004〜2006)
表3.花穂へのジベレリン散布の有無と時期別の摘粒作業時間 (2006)
表4.花穂へのジベレリン散布の有無と果実品質 (2006)

[その他]
研究課題名:ブドウの省力栽培技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2000〜2006年度
研究担当者:宇土幸伸、小林和司、齊藤典義、三森真里子

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