フェロモントラップによるスモモヒメシンクイの発生消長


[要約]
スモモヒメシンクイの成虫発生時期は、フェロモントラップにより簡易に調査できる。山梨県では、成虫は年4回発生し、発生時期は越冬世代が4月下旬〜5月下旬、第1世代が6月上旬〜7月上旬、第2世代が7月中旬〜8月下旬、第3世代が8月下旬〜9月下旬である。

[キーワード]スモモヒメシンクイ、発生消長、フェロモントラップ、防除時期

[担当]山梨果樹試・環境部・病害虫科
[代表連絡先]電話:0553-22-1921
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  スモモ栽培では、近年、スモモヒメシンクイの発生が増加し、著しい果実被害が生じている。本種の年間発生回数、発生時期などの生態は不明な点が多く、効率的な防除が行えない現状にある。そこで、フェロモントラップによる発生時期調査法および越冬世代成虫の発生期における防除適期について検討する。

[成果の内容・特徴]
1. スモモヒメシンクイの性フェロモンは、(Z)-8-ドデセニル−アセタート(Z-8-12Ac)と(E)-8-ドデセニル−アセタート(E-8-12Ac)が主成分であり、主成分比85:15の合成誘引剤は野外において本種を効率的に誘引する(表1)。本剤を誘引源とするフェロモントラップにより、スモモヒメシンクイの発生消長を簡易に調査することが可能である。
2. 山梨県の主要スモモ産地(標高300〜450m)において成虫は年4回発生し、発生時期は越冬世代が4月下旬〜5月下旬、第1世代が6月上旬〜7月上旬、第2世代が7月中旬〜8月下旬、第3世代が8月下旬〜9月下旬である(図1)。
3. 越冬世代成虫の発生期では、発生盛期における殺虫剤散布の防除効果が高い。しかし、密度が高い場合は1回の散布では効果は不十分である(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 上記の合成誘引剤は、交信攪乱剤(成分にZ-8-12Acが使用されているコンフューザーMM、N等)が処理されている地域では利用できない。
2. なお、本誘引剤は、平成20年に社団法人日本植物防疫協会より発生予察用資材として市販される予定である。
3. 第1世代以降の防除は、誘殺数が増加してきたら薬剤散布を開始し、発生量に応じて散布間隔を決定する。


[具体的データ]

表1 合成性フェロモンによるスモモヒメシンクイ、ナシヒメシンクイの誘殺数(2004年4〜10月)
図1 フェロモントラップへのスモモヒメシンクイの誘殺消長(山梨市 2004年)
表2 スモモヒメシンクイに対する薬剤散布日の違いによる防除効果(2006年越冬世代成虫期)

[その他]
研究課題名:スモモヒメシンクイの発生生態と防除
予算区分:県単
研究期間:2002〜2006年度
研究担当者:村上芳照、功刀幸博、綿打享子
発表論文等:1)Murakami Y.et al(2005) Appl.Entomol.Zool.40(3):521-527

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