モモ「川中島白桃」の秋季せん定は新梢切除率3割程度を上限とする。


[要約]
モモ「川中島白桃」において収穫後(9月上中旬)の秋季せん定は、樹勢抑制効果が期待できる。但し、新梢切除率が高いと樹体の耐凍性低下が懸念されるため、秋季せん定の強度は新梢切除率で3割程度を上限とする。

[キーワード]モモ、秋季せん定、せん定強度、新梢切除率

[担当]長野果樹試・栽培部、病害虫土壌肥料部
[代表連絡先]電話:026-246-2411
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  長野県下のもも栽培において、収穫後の9月上中旬に徒長枝や太枝を切除する秋季せん定が実施されているが、せん定の強弱による樹勢や樹体等への影響は明らかとなっておらず、現場の一部では新梢の切除率が極めて高い強せん定が実施されている。そこで、秋季せん定の強度(新梢切除率)による、樹勢や樹体等への影響を検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 「川中島白桃」(6〜9年生樹)において、秋季せん定(9月上中旬)による新梢切 除率(せん定前の総新梢長に対するせん定による切除新梢長の割合)が高いと、幹周肥 大量抑制効果が大きくなり、樹勢抑制効果が期待できる(図1)。
2. 新梢切除率が増加すると、結果枝中のデンプン濃度が低下する。台木による差も見られるがデンプン濃度の低下は、結果枝木部の凍害発生を助長する要因となる(図3)。
3. 新梢切除率が低いと生産効率の低下が認められる(表1)一方、新梢切除率15%〜50%の間では、果実品質に顕著な影響は認められない。
4. 樹勢を抑制しながら、結果枝の耐凍性低下を回避するためには、秋季せん定における新梢切除率は30%程度が上限となる。
5. 秋季せん定の上限となる新梢切除率30%程度の目安は、樹冠下相対照度20%程度の透過光線量である(図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 秋季せん定は成木で樹勢が旺盛な樹において、樹勢抑制や下枝への透過光線確保を図りたい場合に実施する。
なお、幼木、老木及び樹勢が衰弱している樹では実施しない。
2. 夏季管理や着色管理時に徒長枝や新梢を多量に切除してある場合は、新梢切除量を調節する。
3. 太枝をせん除する場合は、切り口にはゆ合剤を塗布する。


[具体的データ]

図1 「川中島白桃」秋季せん定における4カ年の新梢切除率の平均と合計幹周肥大量(2003〜2006年) 図2 「川中島白桃」秋季せん定における新梢切除率とせん定後の樹冠下相対照度(2005年)
図3 「川中島白桃」の秋季せん定強度と低温処理(-21℃、12時間処理)による結果枝の木部被害率及び結果枝のデンプン濃度(2006年)
表1 「川中島白桃」の秋季せん定強度と収量性、果実品質(2004〜2006年)

[その他]
研究課題名:主要果樹の高品質高生産性栽培技術、モモ若木の凍害防止技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2003〜2006年度
研究担当者:木原 宏、伊藤 正

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